新7話 致死毒
「な!?」
〈毒www〉
〈しかもこの威力、
〈なんで釣りスキル取ってる趣味キャラが毒スキルも持ってるんだよwww〉
〈生産キャラなんだろ〉
コメントがざわつく。
【毒】スキルには二つの効果がある。
一つはアイテムに毒を仕込む効果。
ダガー等の
もう一つは毒の効果の底上げだ。
武器に仕込んだ毒、毒状態を与える魔法等の効果を強化する。
アイテムに仕込む毒は【錬金術】で作成出来る各種毒薬ポーションを使用するので、毒関連のアイテムを売る生産ビルドは両方取る事になる。
生産ビルドとしてはかなりニッチだが、対人用等で一定の需要がある。
もっともその場合でも、ダメージ間隔の短い
ちなみに、毒は毒化してから実際に毒状態になるまで3秒の時間差がある。その後は毒レベルに応じて一定間隔で混沌属性のダメージが入る。
「その様子じゃお前、混沌抵抗ケチってるな?」
UOのダメージ計算は割合式で、属性は物理、火、氷、雷、混沌の五つが存在する。
火抵抗が50%なら50%カット、0%なら減衰なしといった具合だ。
一部の例外を除いて属性抵抗値の上限は75%と決まっている。
5属性全てを最大まで上げたいなら、頭、胴、手、足、ベルト、右手、左手、二つの指輪と首飾りの10箇所で最低でも375%分を稼がなければいけない。
スキルや魔法の中には属性抵抗を下げる物もあるので、それを考慮するともっと増える事になる。
「う、うるさい! 混沌属性使ってくるモンスターなんかそんないないし、普通はそんなに上げないだろ!」
〈いやいるだろ〉
〈中難易度以下のダンジョンにはそんないないからな〉
〈俺も狩りキャラは混沌レジケチりがちだわ〉
「はっ! いかにも秩序世界で雑魚モンスター狩りしかした事ない奴の言い訳だな。そんなんで委員長の事守れんのか? あぁ、見守る会だから見てるだけでいいのか。ぎゃははは!」
〈煽っていく~www〉
〈クソガキwww〉
〈まぁ実際その通りだろ。弱い奴が加わっても意味ない〉
「この野郎!」
激昂した桜井ががむしゃらに突っ込んでくるが、時継は巧みなキャラ捌きで近接武器の有効範囲から逃げ続ける。
「卑怯だぞ! 正々堂々戦えよ!」
「対人戦に卑怯もクソもあるか。勝った奴がルールだ。それより解毒はどうした? そろそろ次の毒ダメージが来る頃だぜ?」
タイミングを見計らったように毒ダメージが発生し、サークライのHPが二割を切る。
「くそ、くそ、くそくそくそおおお!」
桜井は言い返せず、がむしゃらに突っ込んでくるだけだ。
「持ってないんだろ、解毒ポーション。その辺の雑魚モンスターは毒なんかまず使ってこないし、それだって無視できるレベルのダメージだもんなぁ?」
「だまれええええええ!!!!!!」
〈うるせぇ叫ぶな〉
〈うるせぇ〉
〈うっさ〉
未来はこっそり桜井の音量を50%にした。
程なくしてサークライが毒死する。
「ざっとこんなもんだ。装備、ビルド、立ち回り、用意、なにもかもがお粗末だったな。そんなんで委員長と一緒に配信したいって? 遊びじゃねぇんだ! 一昨日きやがれ!」
「ちくしょおおおおおおお!」
サークライの幽霊が街の方へと走り去る。
「で? 今の勝負見てまだ勝てると思ってる奴がいるなら相手になるが?」
呻き声の混じった沈黙の後、見守る会の半数以上が棄権を選んだ。
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