No.0

水野・J・タロー

プロローグ

202X年 札幌


「みんな盛り上がってる?」


「イェーーーイ!!」


札幌・すすきののライブハウスで行われているアイドルのコンサート。ステージの段差を境にファンとアイドルが区切られ、アイドル達の掛け声にファンは鼓舞するように大声で応える。


「明日からは、私達は東京での活動がメインにはなりますが、今日来てくださったあなた達の事は一生忘れません!最後はStar Star Star!」


それを聞いたファンは悲痛な思い苛まれるも推しであるアイドルの今後の活動を応援するため、曲が流れ始めれば涙を流しながら彼女らに向けてサイリウムを激しく振るう。


「ぎぃ……き、キラリ…キラリィィィィ!!」


ライブハウスの雰囲気は最高潮の中、一人の男がスタッフの停止を振り切りステージに駆け上がる。その時歌っていたアイドルグループのセンター堀越キラリの首元目掛けて襲い掛かる。辺りは騒然となり襲われた彼女の様子にファンも総出で彼女から突き放そうとステージに上がり込む。


「おい!キラリから離れろよ!…ちょっと離せってうっうわぁぁぁっ!」


「キラリ!…大丈夫!!…止血しないと!早くこっち来て!!」


男は更に抑えつけたファンにも襲い掛かるなどライブ会場は混沌と化していた。彼女はメンバーの誘導の元その場から離れ、楽屋へと向かった。


「ものすごい出血…今救急箱持ってくるから待ってて!!」


「うん、ありがとう…」


楽屋で見つけたタオルで抑えつけても尚止まらない出血にメンバーの一人が慌てた様子で彼女に一言を添えると。


「はぁ…はぁはぁ…キラリ!持って……きた…よ

…キラリ?」


息を荒げながら救急箱を持ってくるも、その場には彼女の姿はなかった。

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