【ダンジョン】人助けしたら、知らんとこでバズってた件【実況】
ぺぱーみんと/アッサムてー
人がいい掲示板実況者の話
第1話
「ありゃまぁ」
Aランクダンジョン【シコラクス】の中層にて、掲示板実況をしていた冬真は、たまたまそこに居合わせてしまった。
音声入力にしていたため、それを携帯端末が拾い、掲示板へと書き込みされてしまう。
《どした、スレ主?》
《なになに、何かトラブル??》
《wktk》
「たぶん、スタンピードなう」
冬真は音声入力をしつつ、画像をパシャリと撮影した。
そこには、このダンジョンにおいては本来なら深層にしか出現しないとされている高ランクモンスターの姿があった。
《上半身がムキムキマッチョの牛で、体が人間だからミノタウロスかぁ》
《ミノタウロスやんけ》
《角をへし折って、漢方屋に売りつけよう》
《角は粉にすると薬になる》
《雄っぽいからチンコも切り取ろうwww精力剤の原料になるwww》
《ちょっと股間がヒュんってなるからやめろやwww》
「数多いなぁって、あ、ヤバい」
《おや、ピンチか?》
「違う違う」
冬真はその光景をまたも画像に納めた。
その画像には、ミノタウロスの角に貫かれグッタリしている少女の姿があった。
《うっわぁ、探索者じゃん》
《ミノタウロスの角の餌食になっとる》
《ぐっさりいってんなぁ、死んでんじゃね??》
《貫通しとる……》
《血がヤベェ》
《しかも配信者じゃん、あそこに落ちてるの撮影用ドローンじゃね?》
《あ、ほんとだドローンだ》
「見つけちゃったからなぁ、助けてくる」
《了解》
《てらー》
《いてらー》
《え、でも大丈夫?》
《あのドローンが壊れてない可能性もあるぞ》
《顔バレ対策してあるか??》
冬真は、剣を手にかけ出す。
ドローンは壊れているだろうと都合のいいように考えたのだ。
そして、ミノタウロスの群れへと踊りかかった。
バッタバッタと冬真はミノタウロスを倒していく。
その様子をドローンは、しっかりと捉えていた。
そう、ドローンは壊れていなかったのである
ドローンによって撮影された映像は、あろうことか生配信だったためにそのまま配信されてしまう。
配信していたのは、【
この【雪華ちゃんねる】の投稿主である雪華は、現在ミノタウロスの角でグロいオブジェと化している。
彼女がグロいオブジェと化すまでの流れも、このドローンは淡々と撮影していた。
そのため、
《おい、誰か探索者連盟に通報しろよ!!》
《救助要請出した!!》
《雪華ちゃん、死ぬなぁ!!!!》
《通報したよ!!》
《Aランクダンジョンの中層だからな、それなりのベテランじゃないとたどり着けないだろ!?》
《たどり着けたとしても、このミノタウロス群れだ》
《ちょっと腕に覚えのあるベテラン勢程度じゃ全滅確定だぞ》
《せめてSランクダンジョン攻略レベルじゃないと》
《それに、この傷じゃもう……》
視聴者たちのコメントは、こんな感じで大騒ぎであった。
しかし、そこに後ろ姿ではあるが冬真の姿が映りこんだ。
《救助きた!!》
《いや、待て早すぎる》
《たまたま同階層にいた探索者、か??》
《って、へ??》
《待て待て待て、なんなんだよコイツ?!》
《あの数を一人で倒していってる??!!》
視聴者たちのコメントがいろんな意味で盛り上がる。
《こんなこと出来るの?!》
《出来てるんだから、出来るんだろ?》
《そもそも、誰だよコイツ??》
《かなりの実力者だろ》
《あんだけ動いてるのに、息切れしてない》
《めちゃくちゃ早い……》
《一時的にだけど、ドローンのカメラが姿を捉えられないほどの速さで動いてるぞ、こいつ……》
《あぁっ!くそ!!距離があって顔がよく見えないな》
《背格好からして、十代半ばくらいの子供か?》
《おいおい、嘘だろ……?》
《ミノタウロス、全滅させやがった》
しかし、冬真はと言えばそんな配信と反応に気づいていない。
ドローンが壊れていると思い込んでいるからだ。
冬真はミノタウロスの生き残りがいないことを確認すると、持参したポーションを取り出した。
遠目からでも、それが回復薬の中でも中々手に入れることの出来ない、ポーションの中でも超希少な【万能薬】であることに視聴者が気づく。
《おいおいおい、嘘だろ?》
《あれ万能薬じゃん!》
《Sランクオーバーのダンジョンでしか手に入れられないアイテムだろ……》
《つーことは、この子かなり高ランクの探索者ってこと?!》
動画の視聴者たちは気絶しそうなほどの衝撃を受けていた。
一方、スレの方はというと、
《万能薬使うしかないよなー》
《(*´・ω・)(・ω・`*)ナ-》
《死んであんまり時間経ってないならワンチャン生き返るだろ》
《それな( ´-ω-)σ》
こんな感じだった。
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