黄色い姿 2
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「視線を感じるんです。友達と、肝試しに行ってから」
「カワムラっていうやつの家の近くに、花守トンネルっていうマジでやばい心霊スポットがあるから、みんなで行こうって話になったんです」
「俺とそのカワムラ含めて友達4人で、その花守トンネルまで行ってきました。丁度、一週間前の話です」
「夜中、12時前くらいですかね。近所のコンビニに集まって、車で向かいました。話では30分くらいで着くってきいてたんですけど、空いてたのでそんなにかからないでトンネルの近くまで来ました」
「花守トンネルへの道は、山沿いの道を走ったところにありました」
「なんか、ギリギリ2車線の道路なんですけど、直角に道が出来てるんですよ。左手に」
「カワムラが言うには、元々花守トンネル側がメインの道路だったらしいんですけど、開発されてその2車線道路側の山が開かれたから、そっちがメインになっちゃったそうで」
「一応、トンネル側を通った方がショートカットにはなるらしくて。地元の人だと、使ってるって人もいるにはいるって聞きました」
「それで、わいわい騒ぎながら進んでった先に、その、花守トンネルがありまして」
「正直その時は、ただのトンネルだなって思ったんですよ。確かに暗くて怖いことは怖いけど、そんなでも、って」
「普通に、向こう側見えるんですよね。短いから、っていうのもあると思うんですけど、中もちゃんと電気ついてて」
「多分、何も知らなかったら、心霊スポットって気づかないと思います」
「トンネルに着いたら、入口のところに路駐して、見てこようってなりました」
「持ってきてた懐中電灯で照らしながら、先に進んでいったんです」
「行きの時は何にも無かったんです。普通に、向こう側へ出て、あー山道だねーって」
「それで帰りのトンネルの、真ん中くらいに来た時でした」
「オダが寒いって言い出したんです。ああ。えっと、はい。一緒に来てた友達の一人です」
「急に寒い寒いって、腕をさすり始めたんです」
「そういうのやめろやって、笑ってたんですけど。前にいたカワムラも、確かに寒いかもって言い始めて」
「俺ともう一人のテライって奴は何ともなかったんですけど、二人は寒いって言ってて」
「確かに昼に比べたら涼しいけど、寒がるほどじゃなくない? って、言ってたんです」
「でも2人は寒い寒いって」
「しまいにはしゃがみこんじゃったんです」
「流石に、ちょっとやばいじゃないですか。なんで、もうテライと一緒に、二人に肩かして車まで戻っていきました」
「最初の時は、まだ具合悪そうに寒い寒い言うだけだったんですけど、トンネル出るころには震えだしちゃってて」
「しょうがないんで、二人を後部座席に座らせて」
「来る時運転はオダがしてたんですけど、もう絶対出来るような状態じゃなかったから、俺が運転して帰ることにしたんです」
「それで、車に乗り込んだんですけど」
「運転席に座って気が付いたんです」
「路駐したって言ったじゃないですか。車」
「山沿いの道からトンネル側へ来たんで、車はトンネル側を向いてるはずなんですけど」
「トンネルを背にして停まってたんです」
「テライと、なんか車の向きおかしくねって、どうするって言い合ってたんですけど」
「でもどうすることも出来ないから、そのまま発進しました」
「テライも俺も、その辺りに詳しくないから、助手席のテライにスマホで道案内してもらいながら、何とか知ってる道に出ました。そこからカワムラを家に送って、オダを家に送って車返して」
「テライと近くのネカフェまで歩いて、そこで朝まで時間潰すことになりました」
「ネカフェまでの道は、もうずっと、テライと2人でやばかった、怖かったって話してました」
「ワンチャン2人のドッキリだったらどうする? って笑ったりもしてました。今思えば、空元気ですけど」
「ネカフェについてから、それぞれ部屋借りて、朝まで過ごしました」
「そこで別れたのが、テライと話した最後の会話です」
「朝ネカフェを出た時は、もうテライはチェックアウトアウトしてました」
「一言くらいくれよって、連絡したんですけど、もう一切反応なくて」
「昨日、親御さんが警察に捜索願出したらしいです」
「他の二人も、やっぱり変になってしまいました」
「カワムラはまだ寒いって言って部屋に引き篭もって出てこないらしいです。連絡も既読にはなってるんですけど、返信は来てません」
「オダも…。オダは三日前に、交通事故で死にました。花守トンネルの側の道で、電柱に突っ込んで、死んじゃいました」
「それで、俺は」
「見られてる感じがしてます。ぶっちゃけると、今も」
「後頭部の辺りをじいっ、って」
「ほんと、やばいんです。背中を壁につけてても感じるし、風呂時とか、ほんと怖いんです」
「こんなことになっちゃったの、心霊のせいかは分かんないですけど、絶対、あのトンネルに行ったからだと思うんです」
「俺、このままだとどうなるんでしょうか」
「俺も、みんなみたいに、変になっちゃうんですか?」
「それとも、俺ももう、おかしくなっちゃってるんですか?」
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