第13話 決戦前夜。ザリ子は・・・

サンボイラーに挑戦状を突きつけたザリ子。これは、ザリ子が決戦に向かう前日の話しになる。


「あー疲れたー。訓練、しんどかったねー。」

「イー」

「もう明日かー、今日は早く寝たいから。んっ(明日は頑張りましょうね)か・・・うん、一緒にガンバろ!」

「イー(↑)」


戦闘員と別れ、ザリ子は一人きりになった。


「あー明日、負けたら、この部屋ともお別れかあ。・・・最初は、なんでこんなトコに?って思ったんだけどなぁ・・・ぐすっ・・・嫌だよ・・・怖いよ。」


一人きりの部屋で泣いているザリ子。そんなザリ子を訪ねてきたのは・・・マチコだった。


「ハイ、誰?・・・マチコ・・・どうした?」

「明日でしょ。ハイッ!これ、餞別。」

「んっ何コレ?カチューシャ?」

「それ、明日の為に作った秘密兵器なんだから、絶対つけて行きなさいよ。」

「えー、コレどうやって使うの?」

「そこにメモ入ってるんだから、それ読みなさいよ。」

「ああ、これ?・・・うん、了解。」

「・・・あんた、もしかして、泣いてたの?怪人でしょ、なっさけないわね。」

「うるさい!」

「怯えてる怪人なんて、聞いた事ないわよ。」

「何よ!もう帰ってよ!」


不安な気持ちでイッパイのザリ子を、マチコが抱きしめた。


「あんた!私が初めて作った怪人なんだから、しっかり、しなさいよ!」

「んっ・・・んー、たるんだ胸、おしつけんなって!」

「ホント、この子って口が悪いわね。・・・ザリ子、絶対帰ってきなさいよ!いいっ!ママとの約束よ!」

「誰がママだ!オバサン!」

「くっ・・・じゃあね!それっ明日、必ずつけんのよ。」

「分かったから、もう帰って!」


帰っていくマチコの姿を見えなくなるまで、見つめるザリ子だった。

「ママ・・・アリガトね。」


決線当日。日曜日の朝、駅前の広場は、人でごった返していたのだった。


「はーい。今日も晴。みんな元気!高橋ユキです。今日は、サンボイラーと怪人ザリ子さんの決戦当日という事で、私、高橋ユキがレポートをさせて頂きます。今回、初めての怪人からの挑戦状という事で、サンボイラーに、お話しを聞いてみたいと思います。どうですか?決戦当日を迎えましたが。」

「悪は倒す!いつもの通りです。」

「そうですか。有り難うございます。」

「それでは、怪人のザリ子さんにもお話しを聞いてみましょう。決戦当日を迎えましたが、いまの心境は?」

「小娘、失せな。」

「あ、有り難うございました。・・・コワッ」


「テレビきてんじゃん。これは、余計頑張んないとね。」

「イー」

「んっ(家で録画してますよ)かー、じゃあ、チャッチャッと終わらせて、皆で録画したの観るよー。」

「イー(↑)」

「カチューシャ曲がってない?んっオッケーね。よし、それじゃ行くよ。・・・何?チビッ子・・・あー、あの海の所で助けた子?」

「お姉ちゃん、怪人だったんだね。・・・でも!応援する!絶対サンボイラー倒してきて!」

「君・・・怪人の応援なんかしちゃ、だめ!」

「えっ」

「でも・・・今日だけ、今日だけはお姉ちゃんの応援して!」

「うん!いっぱい応援するから、お姉ちゃん、勝ってね!」

「よし!戦闘員達、行くよ!」

「「「イー!」」」


サンボイラーの前に立つザリ子と戦闘員達。いよいよ、決戦の火蓋が切られるのだった。

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