第10話 ゴブリンの襲撃
リュウトとアクモは、川の上流に向かって調査することにした。
結局水があるというのは、生活をする上で大事な要素となるからだ。
「洞窟ほどじゃなくても、雨がしのげるような場所が良いよな」
「そうだね・・・。でも一番は敵がいない事じゃないかな・・・」
「そうだったら嬉しいけど、さすがにそんな場所は無いんじゃないかな?」
「無いのか・・・」
二人は周囲を警戒しながら、新たな住みかとなるような場所を探して進んでいく。
元居た場所よりも木が鬱蒼としだし、昼間だというのに太陽の光が届かなくなっている。
「かなり奥まで来たね・・・」
「こっちの方に住みやすそうな場所は無いかな」
「ここら辺、臭いな・・・ん?あそこ見て」
「何かあったか?」
アクモが顔を向けた先には、枯れ木で出来たボロ小屋がいくつも建っていた。
ただ森の中で薄暗いため、どこまで小屋があるのかは分からない。
見える範囲だけで10戸はあった。
中では火が灯っているようで、誰かがいるのが分かる。
しかしこんなにも森の奥で人が生活しているとは思えなかった。
リュウトとアクモは頭を低くし、草に隠れながら様子を伺った。
「一体誰の家なんだろう。結構な数があるけど」
「帰った方が良いんじゃない・・・?何がいるか分からないんだし・・・」
「分からないから、せめて誰なのかは把握しておきたい。もしかしたら気前の良いヒトかも知れないし」
「絶対そんなことないって・・・」
二人は小屋の様子に夢中になっており、背後から近付いてきたもの達に気づかなかった。
「グギャ?!!」
「やばい!!」
「ひぃ!!」
そこにはアレスと同じ種族である、ゴブリンが立っていたのだ。
そしてそのゴブリンの声を聞いた仲間たちが小屋の中から一斉に飛び出してきた。
「グギ!!」
「ギャアギャア!!」
「グギャギャ!!」
数は数匹どころではない。
リュウト達には見えない奥からもゴブリンが集まってきている。
「アクモ!これはヤバい!急いで帰るぞ!!!」
「ひぃぃい!!」
しかし引き返したい方向からもゴブリンが現れたため、簡単に逃げることはかなわない。
リュウトはハイコボルトから奪った棍棒を構えて、戦闘態勢に入った。
「アクモ、やるぞ!」
「そんな・・・」
リュウトは戦う覚悟が出来ているが、アクモは恐怖から足がすくんでしまっている。
とても戦えるような姿勢ではない。
「仕方ない・・・。ここは俺がやるから、アクモは隙をみて逃げるんだ!」
「で、でも、そうしたらリュウトが・・・」
「いいから!」
リュウトはそう言って向かってくるコボルトをひたすらに叩いていった。
以前であればコボルトを倒せるほどの力はなかったが、アレスが進化したことで倒すことが出来ている。
「はぁあ!!」
「グギ・・・」
「おらぁ!!」
「グギャ・・・」
一体一体は難なく倒すことが出来ている。
しかしあまりにも数が多すぎるため、アクモが逃げられるほどの道をあけることは出来ていない。
「いま、逃げ道を作るからな!」
「リュウト・・・」
リュウトが奮闘している間にもゴブリンは際限なく湧いている。
ただ川の方から来るゴブリンの数はそこまでいなかった。
リュウトはその方向のゴブリンを集中して倒し始める。
そしてついに、道が開けた。
「アクモ!先に行け!」
「あ、ありがとう・・・。リュウトも絶対に追いついて」
「もちろんだ!!」
アクモはリュウトが開けてくれた道を通り、泣きながらゴブリン達から逃げた。
リュウトを置いて。
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