第4話 入学式の日

入学式・・・もう、1年ちょっと前になるのか。


あの日、俺は入学式に遅刻した。


俺は、人助けをしていた。


駅前で、バスの事故があり俺は近場に居合わせて救助の手伝いをしていたからだ。


簡単な手当てとかは子供の頃からしていた。


まあ、怪我をしている人を見過ごすことはできない。


その時、彼女と出会った。


バスに乗っていたらしく、座席におでこをぶつけたようで付き添っていた。


事故に遭った後は、心細いものだよな。


「ありがとうございます」

「大丈夫ですか?痛いですよね。

僕にできることは言ってくださいね」


俺は、そんなことを彼女に告げていた。


「あの?その制服って」

「ああ、西高ですけど」

「え、そうなんですね。

実は、私も西高なんです」

「でも、この時間ってことは今日入学式?」

「はい・・・ということは貴方もですよね」


俺達は、他愛のない話をした。


彼女の不安が、訪れないように気を紛らわせるように。


そして、雫をうちの病院に送り届けた。


「あの・・・名前教えてもらえませんか?」

「僕は、高橋 洸祐だよ」

「私は、阿藤 雫です。

学校で会ったら仲良くしてください」

「じゃあ、また学校でね」


俺は、そう言って雫と別れた。


これが、彼女との出会いだった。


まあ、俺にとっては患者に寄り添うようなものだった。


でも、雫にとっては違ったようだ。

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