一周忌

@ephesus

第1話一周忌     /蛍袋

母逝きぬ蜜柑の花の咲残り

新樹光頭骨白く焼上がる

若葉風骨となりても褒めらるる

離宮舞ふ白鷺母と思ひけり

夕焼や聞きたき母の「また来てね」

緑濃き早瀬を望む一周忌

生家なき故郷を歩く片かげり

日傘さす故郷いつしか未知の国

ほととぎす古を恋ひ母を恋ひ

旅人へ挨拶ゆかし夏帽子

東洋城旧居に出遭ふ薄暑かな

不老庵に座して清流青楓

三世代島に仰ぎぬ夏の星

浜照らすグランピングの夏灯

蓴菜に馳走の腹を鎮めたり

桜の実ずしりと重さ増したる児

にぎにぎを突出す空や夏燕

獣の内海泳ぎ渡るらし

緑さす小瀬戸といへど難所かな

夏祓ほぼ日手帳も真ん中に

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