47話 崩落
(シオンside)
「土砂崩れで道を遮らせたか」
山の左右から流れる土砂と木々からそう判断する、おそらく道を崩す事によって攻める道を一本化する為のものだろう。
裏側に陣を敷いたのも真正面から進ませる為の布石か? だとしたら左右から挟み撃ちにして城を孤立させてからの方が……。
「む?」
空に花火の様なものが上がる、その直後に山から巨大な樹が本隊の前に落ちて突き立つと同時に嫌な予感を感じて号令を出そうとした。
樹は急速に根を張って成長する、大地から力を吸い上げていくかの如く枝葉が広がっていくと同時に本隊の立つ地面に亀裂が入り轟音と共に崩落した。
―――――
(ベルクside)
「上手くいったな」
麓に集まっていたオヅマ軍が開いた広大な穴に落ちていく、穴は3m近くの深さがあり這い上がるにしても相当な労力が掛かるだろう。
麓周辺の地面はラクルが地面の下に空洞を作りシュリンが植えた樹木が柱となって支えていた。そして信号弾を合図にシュリンが地面の下の樹木から魔力を吸収して一気に枯らした事で支えを失った地面は鎧を着た兵達や馬の重さに耐えられず崩落した。
時間と人員を要して大規模な工作を仕掛けていたのなら気付いただろう、だがこの仕掛けは実質ラクルとシュリンの二人がレアドロップの力を最大限使って作った。
人が通れる程度の穴から仕掛けを作って後はその穴を埋めてしまえばどんなに優れた斥候でも見つけ様がない。
山の中腹まで飛んで
セレナとラクルに頼んであらかじめ緩くしていた地面は衝撃に耐えきれず崩れていく、土は木々や岩石を巻き込み土石流となって麓へと下っていった。
土石流は未だに穴から這い出そうとするオヅマ軍へと容赦なく襲い掛かった。
―――――
(シオンside)
「馬鹿な!? これだけの規模の落とし穴をどうやって!?」
ゼンが驚愕と共に叫ぶ、更に目の前で起きた事に気を取られる暇もなく土石流が本隊へと襲い掛かった。
一部は結界を貼ったりする事で逃れたりもしているが大半が呑み込まれた。生きていたとしてもしばらくは動けないだろう。
「正気か……?」
これだけの規模となれば西水城とその周囲の地盤は非常に不安定で危険なものとなるだろう。そうなれば西水城の城としての機能は失われたと言っても過言ではない。
だからこそ土砂崩れを起こすにしても一定規模のは起こせない、そう判断していたが……。
「後方の部隊を出せ! ゴモン軍が山の左右から挟撃してくる可能性がある!」
伝令にそう伝えた直後、後方の部隊の伝令が青い顔をしながら本陣に入ってきた。
「き、急報! 急報です!」
「なんだ」
「お、鬼がゴモン軍と現れ後方から襲撃してきました! ただいま交戦中です!」
「なんだと!?」
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