46話 再戦
(シオンside)
三日後……。
再編を終えた俺は再度ゴモンへの侵攻を開始した。
「シオン様、先鋒隊が西水城の麓に着きました」
伝令の報告を聞いて俺は顎を撫でる、少し考えて問い掛けた。
「周囲に罠や工作の気配はあったか?」
「総動員しましたが麓から本陣までにその類の痕跡は見つかりませんでした。また、山の裏側と西水城の周囲にゴモン軍の陣を確認しています」
「……城は捨てず籠城か、兵の数からどちらかは切り捨てると思っていたが」
東谷城は堅固な城壁に守られているのに対して西水城は地形を利用した城だ。奴等なら守りやすく包囲しても一点突破で退却しやすい東谷城を拠点にすると判断し西水城へと進軍した。
西水城であれば地形を利用してると言ってもこちらには地図もあり周辺を熟知した斥候もいる。長引く可能性を考え本国から増援を要請する為にも城を奪取しておく必要がある。
だが予想に反して奴等は西水城にいる、山の後ろに陣があるという事はあれほど手痛い経験となった野戦をやるつもりか?
「それとも策があるのか」
万が一前回の様に土砂崩れを使われるのを想定して隊を分けて山を登らせる。そして先鋒が道を開けたらフドウ率いる介者部隊にヒルコ率いる術師達を加えた本隊を以て城へと侵攻する。
周辺を徹底的に調査させて東谷城の方の動きも見張らせて逐一報告させている、動きや異変があればすぐに対応は可能だ。
「これで大抵の策は通じん」
さあ、どう出る?
―――――
(ベルクside)
「流石と言うべきかもな」
西水城から山に入ってくるオヅマ軍を動きを見ながら呟く、そして傍にいた兵に命じる。
「ある程度引きつけたら仕込んでおいた土砂崩れを起こさせろ。起こしたら各自に配布した信号弾を上げろ」
「はっ!」
兵が伝令を伝えに行くのを見送りながらオヅマ軍へと視線を戻す、オヅマ軍は麓を囲う様に展開している。
……オヅマの兵達は優秀だ、一般兵だけでなく術師も斥候もかなり練度と数を誇っている。
だがそれでも見据えるものはシオンと同じではない、優れているが故にこそ自身の力量と想像を超えた規模で用意したこの罠は斥候では気付けない。
「全員がアンタみたいな奴だったら気付いていたかも知れないな」
俺はそう呟くとアリア達に通信水晶で連絡を取った。
「予定通りだ、信号弾が上がったらやってくれ」
「分かったわ」
「こちらも大丈夫です」
「いつでもいける」
「大丈夫」
四人の返事を聞くと漆黒の剣を手にして力ある言葉を口にする。
「軍装展開“
闇を纏って翼を拡げる、それと同時に信号弾が上がった。
「再戦と行こうか、シオン」
翼を羽ばたかせ、俺は空へと飛翔した。
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