17話 相談


オヅマへの対策や防衛等は長くなると判断して周辺の地図を貰い、相談を終えて部屋に案内されるとひとまず俺が使う部屋に全員集まる。


「実際に話してみて、どう思う?」


遮音の結界を貼り、周囲の気配に気を配りながら話を切り出す。


「嘘はついてないと思うわ、つくにしてもメリットがないもの」


「私もそう思います、少なくとも仕草や表情からそういったものは感じませんでした」


「嘘はついてなかった、嘘をつく時にする心音がなかったから」


「俺は本当の事を言っていた様に思える、少なくとも聞いた話とザンマの警告との齟齬も感じられなかった」


「……ならゴモンに協力して黄泉の門を封印するって方針で問題なさそうだな」


卓の上に地図を広げる、ゴモンとその周辺が描かれた地図を示しながら話し合う。


「オヅマは東側の国だが既に近隣諸国に降伏勧告を送ってるらしい、今は誰も従ってこそいないが進行速度や港での襲撃を考えると近い内に従う国も出てくるだろうな」


「明日にでも動いた方が良いわね、どこから手をつける?」


「兵や軍事関連は俺とラクルでやる、アリアとシュリンはこの辺りを調べて地図をより詳細に作ってくれ。

セレナは基本俺達と一緒に来てもらうが交渉や医療体制の確認をやってもらう事になると思う。

意見があれば言ってくれ」


俺達がいるのはまだ敵地と言っても過言ではない、全員の強さは理解しているがそれでも一人になったところを狙われる可能性は否めない。


突破力に優れたアリアと探知力に優れたシュリンが一緒なら多数の手練れに襲撃されても問題ない。

セレナも前衛を任せられるとはいかないが俺とアリアに鍛えられて襲撃されても身を守るくらいは出来る。

俺が近くにいれば何かあったとしても対応できる。


全員が頷くとそれぞれの部屋に戻っていった。









―――――


夜も遅くなり、静寂が辺りを支配する中でゴモンの歴史書を読んでいるとアリアが部屋を訪ねてきた。


「どうした?」


「あー、うん……ルスクディーテがね」


アリアがそう言うとルスクディーテが剣から魔物の姿に戻る、だが普段の扇情的なドレスではなくヒヅチ特有の紅い着物を纏っていた。


「どうしたんだそれ」


「中々良い衣だった故に我も着てみた、纏うものを変えるなど造作もない」


「似合っているがそれを見せる為に来たのか?」


「そんな訳があるまい、折角の異郷の地なのだ……趣向を凝らしてみたくもなるだろう」


そう言ってルスクディーテは着物をはだけながら俺に覆い被さってきた。


「おい」


「安心するがいい、一度に全員ではなく日毎に一人ずつであれば警戒に問題はあるまい。

今宵は我とアリアの相手をしてもらおうか」


俺は息をついてルスクディーテを抱き寄せる、こうなると止められないのは理解できていた。


バッグから魔石を取り出し、遮音の結界を貼り直した……。

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