第7話 黄昏の剣墓
中規模以上のダンジョンからは固有の特色と言えるものが表れる、黄昏の剣墓であれば地下墓地の様な雰囲気と階層毎に古代文字で刻まれた名前が特徴だ。
1~3階層のスケルトンやグールが徘徊する“無名が礎になった地”
4~5階層の武装した上位のスケルトン等が襲い掛かる様になる“聖者が貶められた丘”
6階層のボーンゴーレムやゾンビキメラといった上位種が現れる“帰還兵を処刑した広場”
そしてボス部屋のみの最下層“無念を鎮める剣墓”
普段であれば出現率も高くなく、5階層までならそこまで危険度は高くないダンジョンなのだが……。
「“
付与魔術で武器に炎を纏わせると突進してくるゾンビキメラをすれ違い様に斬りつける、腐った脚が斬り落とされ、転んで無防備になった首を手斧で斬り落とした。
「まだ5階層だぞ……」
ゾンビキメラが魔石となるのを確認してから先に進む、上の階層に下の階層の魔物が上がってきているという事態はかなりの深刻なものだった。
6階層に下りると空気がより重く感じる、それでも先行したパーティが倒したお陰か鉢合わせる魔物の数は想定よりも少ない。
炎を纏わせた武器を松明代わりに進んでいくと奥から戦闘音が聞こえる、通路を抜けて広場へと出ると話に聞いていたパーティと思しき者達と鎧に身を包んだ骸骨が大剣を振り回していた。
(スカルジェネラル!?ダンジョンボスが上がってきたのか!?)
剣士と槍使いが後ろの傷だらけの重戦士と魔術師を庇いながら戦っているが二人とも消耗してるのか押されている、様子見の暇はないと判断して後ろから飛びかかるとスカルジェネラルが俺を察知して振り向き様に大剣を振るう。
「“
風の魔術で宙を蹴り上がって大剣を避ける、空中で体を捻りながら右手の小剣を頭蓋へと突き込んだ。
「ガッ……」
スカルジェネラルが体をぐらつかせた隙に着地すると手斧に魔力を流し付与と強化を重ね掛けして膝裏…装甲の薄い部分に叩き込むと金属のひしゃげる音を響かせながら片足がふき飛ぶ。
バランスを崩して倒れたスカルジェネラルの大剣を持った腕の肘に手斧を叩き込むと頭蓋に刺さったままの小剣を掴んで魔力を流した。
「寝てろ」
小剣で頭蓋を引き裂くと両手で小剣を握って魔力を込める、そして思い切り胸部に振り下ろして鎧ごと貫いた。
「ゴッ……」
スカルジェネラルの腕が力なく地面に落ちると体が崩れていき魔石へと変わっていく、振り向くと戦っていた剣士と槍使いが呆然とした表情でこちらを見ていた。
「……ガランのパーティか?」
「あ……あぁ、アンタは?」
「ウォークリアから派遣されたベルクだ、状況を説明してくれ」
「っ!そ、そうだ、早く助けを呼ばねえと!殿を買って出たあいつが死んじまう!」
剣士は慌てながらも起きた事を話し出した…。
―――――
ガランが率いるパーティは想定よりも多い魔物に驚きながらも順当に進んで最下層のボス部屋にいたスカルジェネラルを倒したらしい、臨時とは言え白銀級と実力者を揃えた青銅級のパーティは危なげなくスカルジェネラルを倒したそうだ。
しかし倒して今回の原因を調べようとした途端、部屋の奥にある剣のオブジェから膨大な魔力と闇が噴き出すと複数の見た事もない黒い鎧の魔物が現れた。
即座に対応して戦っていたが一際厳つい鎧を纏ったリーダー格の魔物によってガランが致命傷を負わされ、囲まれかけたが剣士の一人が自ら殿を買って出て撤退する事が出来たらしい。
そして上がってきたところを先程のスカルジェネラルに襲われていたところに俺が来たという訳だ。
「状況は分かった、アンタ達はこのまま脱出して救援を呼んでくれ」
持っていた
「殿の救援には俺が行く」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます