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 話を聞くと、先日、友人たちと食事をした帰りの道で、ビルの片隅に店を出している占い師のおばあさんに、真昼は「占ってあげようか?」と声をかけられて、千円を出して、そのおばあさんに手相を占ってもらったのだと言う。

 その手相占いは『恋愛運は大吉』であり、真昼は喜んで、それからおばあさんと少し話をして、人の手相を見るコツを教えてもらったのだと言う。

「それで僕の手相を見たの?」

「そうです」嬉しそうな顔で真昼は言う。

「ちなみに、私と秋野先輩の相性もばっちりですよ」と真昼は言った。

 村上真昼は秋野四葉の一つ年下の、今年十九歳になる大学生で、髪は耳が出るくらいに短くて、いつも動きやすいラフな格好をしている、気持ちの良いさっぱりとした性格をした、すごく美人な女の子だった。

 高校まではずっと陸上部に所属していて、種目はハードル。そのころは髪が長くて髪型をいつもポニーテールにしていたらしいのだけど、大学で真昼と出会った四葉は、そのポニーテールの髪型をしている真昼を見たことが一度もなかった。(走っている真昼を見たこともなかった)

 四葉は「じゃあね」「はい。……あ、秋野先輩。用事があるんで、またあとで研究室にお邪魔しますね」と言う会話を真昼として、大学の校内で真昼と別れた。

「秋野先輩!」

 大声で呼ばれて四葉は後ろを向いた。

「大好き!」

 にっこりとした笑顔で、遠くから真昼が言った。四葉の周囲にいた学生たちが、幸せそうな顔をして四葉と遠くにる真昼のことを見ているのがわかった。

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