7月9日(日) 『肯定』

 今日はラジオのタソアイ、タソガレドキにはアイスティーを、の放送はお休みな日曜日。


 特にこれといった予定もなく、私、櫻井あいらは、自宅でのんびりダラダラと過ごしていた。明日から返ってくる期末テストの答案用紙のことは、頭の片隅、隅の隅へと置いておく。


「タソアイ以外のラジオも聴いてみようかな」


 両親と一緒に遅めの朝食を終えた後、自室でラジオを聴くことにした。

 祖母の形見としてもらった卓上ラジオは、今日も手を伸ばせば勝手に電源が入る。心霊現象、といえばそうなのだが、恐怖は感じないし、これはこれで便利なので気にしないことにする。


 電源がついてすぐ、耳慣れた歌がラジオから聴こえてきた。そのまま周波数を変えずに、知らない番組を聴き始めた。


 ***


 いくつかのラジオ番組を主体的に聴いてみてから気がついた。


 ラジオって、話し手と聞き手の距離が近い。


 電波を使った公共の放送ではあるけれど、パーソナリティからみんなに対しての放送、というよりも……。一対一、リスナーである私に対して語りかけられているような、そんな気がする。


 各番組に届くメッセージへの応え方も、ラジオならではの返し方だと思う。パーソナリティやスタッフが受け止めて、肯定して、その上で声や音楽で返事を届けてくれている。


 テレビや動画配信アプリなどとはまた違った、ラジオであるからこその、魅力。

 学校の友達には、理解されにくいかもしれないけれど……。


「ラジオって、いいなぁ」


 あとから思えば、タソアイがきっかけで私の趣味が増えた瞬間だった。

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