第19話 村にこなければ
セロは、女の子を母親に引き渡したネイに声をかけた。
「ネイ」
すると、ネイは今すぐここを動くべきだと分かっていたようだった。
「うん、あの頭のおかしな人が来る前に逃げないとね」
セロたちは、村の住人たちに声をかけた。
呆然としていた人たちは、次第に我に返って移動しはじめる。
「村長さんがいないなあ」
「逃げ遅れちゃったって聞いたわ。足が悪かったもの」
「くっ、あいつが村にこなければこんなことには」
「セロ」
こぶしを握りしめるセロは、背後から何かがへし折れる音を聞いた。
振り返ると、そこにあの罪人がいた。
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