No.83 黒板

「ねぇ、まだ花織のこと好きなの?」


 黒板を消す背中に私は問いかけた。手が一瞬止まって、また動き出す。彼の表情は見えない。高い所は届きにくいのか、背伸びするように。


「ねえってば」


 彼はこっちを向かず「わかんねえよ」とジャンプした。


 上の方にはまだチョークのあとが消え残っていた。

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