No.67 きっかけ

「お願いします」

図書カウンターには同じクラスの足立君がいつもの無愛想な表情で座っていた。


テキパキと貸出の作業をする彼の手の甲に何やら文字が。


「うすくち?」


読み上げると珍しくうろたえてこっちを見た。


「今日安くて…」


そんな表情するんだ。ちょっといいな。

また彼のとき返却しよう、かな。

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