第一回 部活勧誘合戦の事 並に料理研激辛カレースパイスの事
1
私立十月学園高校の四月はまず、各クラブの新入生達への勧誘合戦が行われる。
この高校はクラブの数が大変多いのが特徴で、顧問がいない部活も多数あり、誰もこの高校のクラブの数を把握している者はいないとされる。作るのも潰すのも学校の許可なくできるとのことらしい。
大きな部から小さな同好会、研究会など多種多様で、体育会系だと、野球部、サッカー部、陸上部、テニス部、柔道部、チアリーディング部、ダンス部など数多く部に加え、ゴルフ同好会やクリケット同好会、スカッシュ同好会、ホッケー同好会、フェンシング同好会、総合格闘技同好会、モータースポーツ同好会、セパタクロー同好会、スポーツクライミング同好会などなどマイナースポーツも含め数えきれないほど存在するらしい。
文化部は吹奏楽部、軽音楽部、美術部、演劇部、写真部、料理部、放送部(放送委員会内)、新聞部、帰宅部などこちらも多数の部が存在し、更に漫画研究会、落語研究会、映画研究会、オカルト研究会、鉄道研究会、アニメ研究会、クイズ研究会、奇術研究会、ミステリ研究会、歴史研究会、散歩同好会、広告研究会、人形同好会などこちらも数えきれないほどの変わった同好会や研究会も多数ある。それが一同に校舎の学校の玄関から校門前にかけて宣伝合戦が行われている光景は圧巻である。まるで、屋台やノボリまで出されていて一見すると文化祭のようだ。
どの部もとにかく新入部員を獲得しようと必死である。特に同好会や研究会などは部員数によっては「同好会・研究会」から「部」に格上げされるとの話だ。
なお、一つの部にしか入れないという決まりはないため、大多数の生徒が兼部している状況でもある。しかし、野球部やサッカー部など、常に忙しい部活動は兼部している部員は少ないというが、それでも一応幽霊部員や助っ人部員としてあちこちの興味のあるクラブに入部していたり頼まれてとりあえず名前だけ登録入部していたりとの噂もある。
私と久月菜乃香はこの異様な部活動宣伝勧誘合戦でごった返した玄関から校門前までの様子をなんとか避けつつ、宣伝文句や芸を披露している光景を楽しんで見て回っていた。
「そこのお二人さん! どうです、奇術同好会には興味ありませんか?」と軽いマジックを披露しながら声をかけてくる奇術研。
「さあさあ! 寄ってらっしゃい見てらっしゃい! この学園の七不思議、私達オカルト研究会と明かしませんか!?」と見るからに怪しいが、ちょっとは興味深げに見ている久月菜乃香を引っ張ってオカルト研の宣伝をなんとか避けつつ、さっさとこの場から逃げようとしていた。久月菜乃香からすると、どの部活も興味深いらしく、一つ一つの部を見ては目をパチパチと眺めているようだった。
途中でいい匂いがしてきて、流石の私も少し気になった。その匂いを辿ると、そこは料理部の屋台であった。この匂いはカレーである。カレーがグツグツと煮えて湯気がたっている大きな鍋の前で数名の料理研の部員と思われる人や、ただ見に来ている生徒が何名か集まっているようだ。
「下野先輩困りますよ! こんなカレー誰も食べられないじゃないですか!」
料理研の生徒と思わしき、黒いエプロンを付け、頭にはタオルを巻いている男子が大きなカレー鍋の前で自信満々のどこか企み顔で仁王立ちしながら、鍋を大きなお玉でかき混ぜている。
「おい、なんだ? 奥村!俺の特製カレーが食えないのか!?」
威勢のいい張り上げた声で後輩を脅かす。
「だって! このカレー、激辛を軽く飛び越して超激辛、いやもう拷問物ですよ! 誰も食べられないです!」
奥村さんという料理研の後輩は下野先輩という人に負けじと大声で張り上げ抗議する。
「何を言っているんだ! カレーはスパイスが命! ちゃんとカレー風味には欠かせないスパイシーさを出すクミン、柑橘系の甘い香りと苦味によってスパイスの風味を調和させるコリアンダー、甘くコクのある風味のシナモン、強くて甘い香りと刺激的な味わいでカレーの奥行きのある風味を生み出すクローブ、スパイシーで甘い香りのナツメグ、味わいと香りに奥行きを出すオールスパイス、強く爽やかな風味と苦味でカレーの風味をプラスするローレル、強い香りと旨味によって食欲をそそる風味とコクが生まれるガーリック。
そして辛味には欠かせない、強い辛味とパプリカのような風味の乾燥させた赤唐辛子のカイエンペッパー、ピリッと爽やかな風味と後味をすっきりとさせてくれるジンジャー、ビリビリと痺れるような清涼感のあるシャープな辛味をプラスするブラックペッパー!
次に色をつけるための肝心である、土のような香りとほのかな苦味を持つ黄色いスパイス、ウコンとも呼ばれるターメリック。
そしてインドでは欠かせない、香りと辛味、色をつける数種類から十種類以上も混合させたスパイスのガラムマサラ!
この基本のスパイスを入れた誰が見てもカレーだと分かる、これを拷問物とはなんだ!?」
後輩・奥村は狼狽えず、反論する。
「じゃあなんなんなですか! このカレーの色は! 茶色でも黄色でもなく、物々しい赤色が見え隠れするこの黒色のカレーは!? イカスミでも入れたんですか!?」
下野先輩はニヤニヤして、首を横に振る。
「イカスミなんか入れてないさ。イカスミを入れると独特の匂いがカレーに地味に残る。俺が入れたのはこれさ!」
と、先ほどまで鍋の隣で布が被せてあったものが取っ払われた。それを見た奥村さんは驚愕する。
「えっ!? ……胡椒、チリペッパー、タバスコ、赤唐辛子に青唐辛子、ハバネロ、ワサビ、これはスコッチ・ボネット、デスソース……しかも、『サドンデスジョロキア』、『アフターデスジョロキア』、『サルサデスソース』、ブート・ジョロキアにトリニダード・スコーピオン・ブッチ・テイラー、ギネス記録に載っている最も辛い唐辛子キャロライナ・リーパーまで……一体どこで……」
流石にドン引きする奥村さんを始めとする料理研のメンバー達。しかしそこに追い打ちをかける下野先輩。
「まだまだあるぞ。ドラゴン・ブレス・チリにペッパーX、リル・ニトロだ。これも唐辛子の仲間で世界最強の辛さと言われている。入手するのは本当に大変だった。わざわざ海外の通販サイトから取り寄せたりもしたしな。ほれ、ちょっとだけこの唐辛子たちがいかに辛いか、味見してみろ」
周りの料理研メンバー達はすぐさま奥村さんの後ろに隠れ、奥村さんが気付いたときには下野先輩の前にいた。
「えっ……これを味見ですか……?」
「そうだ。どれくらい辛いか、わからんからな!」
「下野先輩がやればいいじゃないですか……!」
「俺は既にこのスパイスを混ぜた粉を味見をし、『おお、なかなかの辛さだ。さすが世界一と言われることだけはある……!』と感心したんでな。奥村! 味見をしてみろ!」
奥村さんは嫌々ながらも様々な激辛香辛料が混ざっている袋から粉を指で掬い、恐る恐る口に入れた。その途端である。奥村さんはあっという間に体全体が赤くなり、その場で倒れた。他の料理研メンバー達が慌てて水や牛乳、保冷剤などを持ってきて介抱している。
「なんだ、奥村。お前は辛いのが苦手だったか! スマンな!」
下野先輩は申し訳無さそうに頭を掻いているが、本人の顔は嬉しそうだ。
ふと、久月菜乃香のほうを見ると不思議そうな顔をしていた。
その赤いブランケットを羽織った小さい少女とその横にいる私が目に入ったのか、下野先輩は私に向かって、
「どうだい? ちょっとだけどれくらい辛いか味見をしてみませんかい?」
これには私も狼狽した。巻き込まれてしまった……。だが、奥村さんが辛いのがもともと苦手で大袈裟過ぎるだけだったのかもしれない。久月さんは心配そうに慌てふためき、
「涼さん、無理はダメですよ……」と、忠言してくれる。だが、私は挑まれた戦いには退かない主義だ。父も言っていた。「――売られた喧嘩はわざわざ買うことはない。だが挑まれた勝負には、いくら劣勢であろうとも逃げてはならない」と。さあ、かかってこい。
2
「大丈夫ですか? 落ち着きました……?」
「あ、ああ、ええ……。もう、大丈夫、だと思う……」
久月さんが外の水道で水を大量に飲み、料理研の方がくれた牛乳でなんとかあの激痛のような刺激から逃れていた。結局のところひとつまみ香辛料を舐めただけで、このザマである。あれは兵器だ。いますぐ、国連の条約で禁止にすべきだ。
その様子を見ていた連中が我も我もと、激辛好きの強者やただ興味があるからためしてみたいという男子たちがその黒に染まったカレーの超激辛香辛料に挑戦していっては、即ギブアップ、というよりも倒れ込んでいった。少しは耐えられる挑戦者も現れたが、2分もしないうちに暴走し、外の水道に駆け寄りずっと水を飲んだり浴びていた。まさに、究極の激辛スパイスを使った世にも恐ろしい超極激辛カレーの誕生である。その様子に下野大地先輩――途中でわかったのだが、彼は料理研の副部長のようだ――は高笑いをしていた。
「これで料理研の部長は俺のものだな!
そこへある野次馬が下野先輩に声かける。
「下野先輩! あなたは本当にその激辛香辛料やカレーを味見したんですかぁ? もしかして嘘だったりでもするんじゃないですかぁ?」
その野次に怒った下野先輩は、
「やいやい! どいつだ! 俺が苦労して作ったんだから味見はしているし、俺は辛さには負けない。俺の辛さの耐久度は人間離れをした特別なんだよ」
そう自慢気に語っているが、そもそも何故この超極激辛カレーを食べさせることで、料理研究会の地位が変わるのだろうか。
「じゃあ、見せてあげようじゃないか。この俺がこの激辛香辛料を食べても平気であるという事を!」
そういうと、下野先輩は袋に詰められた赤黒い激辛香辛料を右手の人差し指で掬い、そのままサッと指を口に運んだ。その場は騒然となった。なんと、下野先輩は、全く何事もなかったかのような顔で平然としてスパイスで汚れた手を洗っている。むしろ、「ドヤ」とニンマリした怪しげな笑みすらも浮かべている。本当に、耐えた! 料理研メンバーや周りに集まってきた連中は大騒ぎである。私も今目の前で起きた出来事に驚いていたが、久月菜乃香は不思議そうにそれを見ていた。
「そらみろ。俺が作り出した、この超激辛スパイスに耐えられる、と。むしろこれぐらいがちょうどいい辛さで美味いぞ!」
料理研メンバーは焦っている。そこで、奥村さんに少し気になったことを訊いてみることにした。
「すみません、あの、奥村さん。私、一年の古代涼って言います。ちょっとお訊ねしたいのですが……」
奥村さんは二年生で、私を見たとき、「ああ君もあの被害者か……」というような憐憫の目と新入部員が獲得できるチャンスかもしれないとの期待の目でこちらを見た。
「ああ古代涼さん。いや、うちの副部長が騒ぎを起こした上に、古代さんまで巻き込んでしまって申し訳ない……。それで、訊きたいことというのは?」
奥村さんはある意味苦労人なのだろうか、と心の奥底で思い、同情して愚痴でも聞こうかと思いもしたが、それよりも気になったことのほうが先だ。
「あの、下野先輩って料理研の副部長なんですよね? さっき下野先輩が言っていた『これで料理研の部長は俺のものだな! 道場星子部長、さあはやく勝負しましょう。料理研の部長と副部長を交代するときです』とか言っていましたよね。あれはどういう意味なのでしょうか?
奥村さんは少し溜息をした。そして、騒いでいる下野先輩を見ながら、語り始めた
「うちの部長は道場星子先輩という方で、下野大地先輩とは幼馴染でもあり、なんといいますか、下野先輩が一方的にライバル視している関係なんです。道場先輩が料理研に入部したと聞くと、別に料理に興味もなければ得意というわけでもないのに、わざわざ同じ料理研に入って何かと勝負をするんです。今のところ下野先輩が全戦全敗ですけどね。それに付き合う道場先輩もどうかと思って聞いたことがあるんですが、『下野君とはこうやってわちゃわちゃやっているときが一番楽しいから……。あとこうして料理研に入ってきたことでどんどんと料理が好きになって上達していく姿が嬉しいんだよね』って仰ってましたね。
しかし、先々週、今学期初めての部活で、道場先輩が料理研の部長に任命されたんです。まぁ、当然といえば当然ですがね。去年の先輩たちや今の三年生が話し合って、下野君はやる気はあるし、負けず嫌いだからヒラにしておくと、怒るかもしれない。ならば、副部長になってもらおう……そんな話がなされて、今の料理研体制になったんですが、それに異議を唱えたのはやっぱり下野先輩でした。道場先輩が部長で、自分が副部長という立ち位置が悔しかったんでしょう。傍から見れば、こんな子供らしいこともないですが、まぁ、皆いつものことかと放っておくことにしたわけですが、今回は違いました」
奥村さんの呆れ顔が疲れた顔にだんだんと変化してきた。
「何かあったんですか?」
「まぁ、下野先輩が今度の部活勧誘合戦で、凄い料理を作ってきたほうが料理研の部長という勝負しかけてきたんです。材料や、料理の決まりはなく、凄いと思わせられるものを作ってきたほうが勝ち……単純ですがよくわからないルールですよね。まぁ道場先輩も少し考えてから勝負を引き受けたんです。これがこの事件のだいたいの流れですね」
奥村さんはまたため息をついた。そして、
「そういえば道場部長はど
こにいるのだろう。今日は全然見てないなぁ。多分家庭科室にでも籠っているのだろうか……まさか敵前逃亡したわけではあるまいし……」
奥村さんが「じゃっ」と言って道場部長を探しに行ってしまった。
3
そういえば久月さんはどこにいるんだろう。背が小さいからこのごった返した中で探すのは大変難しい。と、思ったらまだ料理研の前にいた。いったい何をしているのだろうとゆっくりと近づいてみると、久月菜乃香は下野大地副部長と問答をしていた。
「あの、先ほどのスパイスを指でとって舐めても平気なのは本当に凄かったです!」
久月菜乃香は珍しいものを見られたという喜びで興奮していた。それに対して、下野先輩は、
「ハハハ。そうかい! 嬢ちゃんありがとな。あの程度の辛さなんて大したもんでもないのに、皆大袈裟過ぎるんだよ。お嬢ちゃんも舐めてみるかい?」
それは流石にまずい。久月菜乃香も興味津々だったが、すかさず止めた。
「久月さん、ダメ。本当にダメ。死んじゃうかもしれない。絶対ダメだからね」
久月菜乃香は少しガッカリした様子で、
「そうですか……涼さんが言うのなら仕方ないですね……。彼のトリックを試してみようと思ったところなのでしたが……」
その言葉に驚愕した。下野先輩も驚いていた。
「おいおいお嬢ちゃん! 料理にトリックなんて隠し味なものなだけで、手品じゃないんだぜ?」
久月菜乃香は、その真ん丸に透き通った目でじっくりと下野先輩と激辛スパイスの入った袋を見つめながら、喋り出した。
「まず、下野先輩は実際にこの激辛スパイスを作り出し、それを袋に詰めています。そして、そのスパイスを使ってこのように激辛カレーを作り上げています」
下野先輩はそうだそうだと頷いている。
「しかし、私が違和感を持ったのは、その袋に指を突っ込んで、スパイスまみれになった指を舐めたときです。下野先輩がスパイスを付けた指は右手の人差し指だったと記憶しています。しかし、口に入れた指はスパイスのついていない同じく右手の中指でした。うまく、スパイスの付いた人差し指を手の内側に隠し、あの注目が集まっている中でも、袋に入ったスパイスを付けた指と口に運んで舐めた指までの短い時間、大体十秒もしませんでしたか。その間を誰にも気づかれずに入れ替えていました。もちろん、人差し指に付いたスパイスが中指の一部にも微量ながら入っていたとしても我慢すればよいか、その程度なら耐えられる辛さだったのかもしれません」
下野先輩は大きな汗をかきながら、反論した。
「おいおい! それは言いがかりだろう。その汚れた人差し指はそのままにしていたらバレていただろう?」
久月菜乃香は平然と答える。
「いえ、舐めたあと、手を洗っていました。それも自然な動作です。スパイスが付いて口に入れて舐めたことによって汚れてしまった指を洗わないほうが逆におかしいことです。私の身間違えでしたらもう一度、激辛スパイスを舐めてみていただけませんか?」
とんでもない観察力と記憶力である。私はその小さい赤いこけしのような姿の久月菜乃香を見つめて感心していた。周りの野次馬や料理研の連中も、久月菜乃香と下野先輩をテニス試合観戦のように右左と首を振って見つめている。そして、下野先輩ももう何も言えずに、なんとか振り絞った声で、
「じゃ、じゃあお嬢ちゃんのために、と、特別だ……。も、もう一度、激辛スパイスを……舐めて、いや思いっきりスプーンで掬って食べてやろうじゃないか……!」
そのときだった。
「下野君、もうやめましょうよ。そんな一年生の子に騙しを見透かされたからって自棄ならないで」
奥村さんとともにやって来たのが、セミロングヘアで制服の上にエプロンを着ている女子だった。この人が道場星子であろう。
「もう、こんな食材無駄にしちゃって……。一応激辛愛好会の方々に持って行ってもらうよう頼んでおいたから……。
下野君、昔から無茶苦茶ばかりだったけど、本当に手先は器用よね……。料理研に入ってくれたときも包丁捌きとか本当に巧くてビックリしたなぁ……。もう、勝負とかそういうのはやめて一緒にこれ、食べましょ?」
そう言って道場星子先輩が取り出したのは、お手製であろうクッキーであった。それを見て、下野大地先輩も「あっ」と小さい声が漏れ、
「やっぱ、道場には敵わないや……。ずるいぞ。俺たちが小学生の時のクッキー、覚えていたんだな……。あのときは道場が失敗して代わりに俺が一緒に作ってやったっけか……」
下野先輩から笑みがこぼれる。
「道場、ごめん! 俺、本当は料理研の部長とかどうでもよかったんだ。ただ、道場がどんどん俺と疎遠になっていくのが、なんというか……嫌だったから……うん、なんていえばいいんだろうな……」
その言葉に道場先輩も思わず笑いが出る。
「もう! そんなことないって。腐れ縁すぎて下野がいない学校生活なんて考えられないよ。ほら、早く片付けて一緒にクッキー食べよ? いっぱい焼いたから、部員の皆も、そこの可愛らしいお嬢さんとカッコイイあなたも」
こうして、料理研の激辛カレースパイス騒動は終わった。久月菜乃香が道場星子先輩に問う。
「なんで、クッキーなのですか?」
道場先輩は軽く笑うと、
「下野君がこんなにコリアンダーとかシナモンを買ってくるんだもん。こりゃクッキーに使うしかないって思ってね!」
久月菜乃香の観察力、記憶力には驚かせられたが、これは偶然だろう。そう考えていたが、これが彼女の持つ探偵力の一部であったと知るのはもう少しあとのことであった。
赤いこけし少女と秘密の学園探求 古木しき @furukishiki
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