第9話
玲架が目覚めると、昼の2時だった。富田の姿は見えなくなっていた。お財布を確かめたけれど、お金はそのままだ。何も取られたものはない。玲架は夢の様な夜の事を思い出した。
「昨夜のあれは夢だったのかな」
玲架は、裸のままでシャワー室に行き鏡を見た。気のせいか胸が豊かになり、ウエストが引き締まっている。肌の弛みがなくなり、つるりとした光沢がでている。
シャワーを浴びると、10代の頃みたいに肌が水を弾いている。
「何これ?まるっきり、高校生の頃みたいだわ」
弛んでいたお尻が締まって高い位置に上がっている。鏡が歪んでいるだけだろうかと、鏡を触ってみたけれど普通の鏡だ。自分の体を見ながらシャワーを浴びた。体が軽いし心も軽い、若返った気持ちだ。
「私、綺麗になってる」
シャワーを当てながら背中を鏡に映した。背中に黒いアザできている。よく見ると、それは背中から腰にかけて描かれた、巨大な蜘蛛の絵だった。
「嫌だ、何これ?」
玲架は焦って、石鹸で擦ったけれど、いくら擦って消えない。指さきで掻きむしっても血が出るだけで剥がれない。。
「いやあああ!」
玲架は大声で叫んだ。一夜の過ちのために玲架は体に一生消えない。罪の証が掘り込まれてしまった。
続く
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