第42話 田舎村の隠された秘密
俺たちは貰った英雄譚を読むためにカフェに入る。
そこにはこんなことが書かれていた。
――700年前にも魔王と呼ばれる魔族がこの大陸に攻めてきた。
彼は無数の魔族たちを率いていた。
それによって人類の三分の一が犠牲になったが、ある
彼はその剣で魔族たちをドンドンと倒していき、いつの間にか勇者と呼ばれるようになっていた。
仲間もドンドンと増え、その勇者パーティーはとうとう魔王を打ち倒すことに成功する。
その後、勇者パーティーは平穏になった世界に満足して、《魔の森》中央にある平原に村を作りそこで暮らすようになった。
「……もしかしてルインって、あの村の人たちって700年前の勇者パーティーの末裔なのか?」
「ルインって誰? あの村の人たちって?」
「ああ、ニーナに説明するとだな。俺はみんなと別れてから十年間、魔の森の中央にある平原にいたんだよ。そこには村があってルインと呼ばれる少女がいた」
俺の言葉にニーナは納得したように頷いた。
「なるほど。通りで見つからないわけ」
「うっ……それは申し訳ないことをしたと思ってる」
「ううん、別に構わない。こうして会えたのだから」
ルインが勇者の末裔かぁ……。
奴隷だった少女たちも英雄になってるし、俺の周りが凄い人だらけになってきてる気がする。
「英雄譚はお終い。それよりもこのソフトクリーム美味しい」
「ああ、そうだな。それはイチゴソフトか?」
俺が尋ねるとニーナは頷いて差し出してきた。
「そう。食べてみる?」
「いいのか?」
「もちろん。その代わりそのマンゴー味も欲しい」
差し出されたイチゴソフトをパクっと食べてみる。
うん、ちゃんとイチゴの味が口の中に広がって美味しいな、これ。
マンゴー味も美味しかったが、イチゴ味も負けてない。
「じゃあほら。食べてみな」
そう言って俺は自分のマンゴー味のソフトクリームを差し出した。
「うん、こっちも美味しい」
「そりゃ良かった」
そして俺たちはそのカフェでまったり過ごすと、その日を終えるのだった。
***
俺はそれからニアとルルネとのデートも終わらせると、その街を離れることになった。
次に向かうのは鏡華大心国の王都だ。
他の旅人から聞いた話によると、近々その王都で闘技大会が開かれるらしい。
そのおかげで各地から猛者たちが集っていて、凄く賑わっているとも聞いた。
色々な出店も開かれているみたいだし、なんだか楽しそうだ。
優勝者には世界一美しいとされる宝石 《アクアヴィーナス》が与えられるらしい。
これは大金を積んでも手に入れられるものではないので、少女たちは凄く欲しそうにしていた。
まあ正体を隠して出場してみてもいいかもな。
そんなことを思いながら、俺たちは鏡華大心国まで歩くのだった。
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