第4話 麻痺する全て
ゆかなは結論から言って浮気をしていた。
その事を今日のデートで知ってしまった俺はショックで枕に顔を突っ込んでいた。
悔しいし絶望だ。
俺は思いながら自室でベッドに寝転がったままスマホで連絡先を開いてからメッセージを飛ばす。
その相手は美兎だった。
(そうですか.....浮気確定ですか。多少は望みを抱いていましたが)
(そうだな。.....俺も願っていたよ。最低最悪の気分だな)
(これで確定ですね。先輩。地獄の底に突き落としましょう)
(具体的にはどうするんだ)
先ずは証拠集めですね。
今は取り敢えず学校内の掲示板でも掲載しましょうか。
あそこ一応匿名で記載出来ますし、とニヤッとなる様なメッセージ。
俺はその言葉に、まあそうだけど.....でも問題にならないかな、と送る。
(先輩。そんな事を心配している場合ですかね?.....私は絶対に許せませんがジワリジワリと敵の足元を崩しますよ。.....そうですね。進路先とか就職先のその全てをひん曲げるぐらいに)
(お、おう。お前結構凄い事を考えてんな.....?)
(当たり前です。.....敵ですよ?明確な敵です。.....相手は。私は先輩を馬鹿にするなら誰でも敵に見えますから)
敵って。
何でそこまでやるのか分からないが。
でもまあやりたい様にやらせるか。
思いながら見ていると、社会人だからバレないとかたかを括っているなら滑稽ですね、と文章を送ってきた。
それから笑顔のキャラモノのスタンプを送ってくる。
(爆笑ですよ。寧ろ例えば相手が捕まってバレても確かに買春とかでテレビで公表って稀なので被害は及ばないとは思いますが.....まあその前に絶望にさせてやりますよ)
(良いけどお前は何でそんなに俺に尽くす?)
(私ですか?.....内緒です。.....まあそんな事はどうでも良いですよ。.....取り敢えず今は学校連絡用SNSに最低限の情報を匂わせるぐらいにしておきますか。今は私達が牡馬先輩の身分が分からない程度に焦らして。特定に時間が掛かるぐらいで。証拠が無いですから)
Sだわ。
思いながら俺は苦笑いを浮かべる。
すると美兎は、その次は取り敢えずは部活動の居場所を破綻させますか、と書いてくる。
俺は?を浮かべて、それはどういう意味だ、と聞く。
牡馬先輩は写真部でしたね、と笑顔になる。
(写真部の牡馬先輩の居場所をぶっ潰しましょう)
(ぶっ潰すとは?)
(悪い噂を流します。.....まあとは言え全く証拠が無ければ意味ないですけど。取り敢えず証拠を掴みましょう。居場所を無くしましょう。牡馬先輩の何か証拠を掴んで破綻させます)
めっちゃ嬉しそうに反応する美兎。
俺はその言葉に起き上がる。
それから、浮気の写真を握るって事か?、と聞く。
すると、そうですね、と笑顔になる。
(先輩は何か牡馬先輩のSNSアカウントとか知らないですか?)
(まあ知っているけど.....)
(なら話は早いです。牡馬先輩のSNSアカウントにアクセスしましょう)
(は!?バカな!?そんな事をしたら犯罪.....)
そんな事言っている場合.....というか私がやりますよそれは、とニコニコのスタンプを送ってくる。
俺は、お前.....、と書く。
それから送信した。
すると、それにアカウントに入る訳じゃなくて裏垢とか調べるだけです。実際にログインを突破なんてしません。そんな力無いです、と文章を送ってきた。
でもそれを調べる力はありますので、とも添えながら。
牡馬先輩は写真部のアホなのでアホレベルならきっと写真の1枚ぐらいあるでしょう、とも。
(そうなると消される前に取り敢えずアクセスする必要がありますね)
(分かるのか?本当に)
(私は無敵です。先輩が居ますから)
(いや。俺が居るからって)
(アハハ。唯一の仲の良い先輩ですから)
そして、では。今から調べます、とそのまま閉じられてしまった。
俺はその様子を見ながら、ふむ、と思いながら立ち上がる。
それから表に出てから階段を降りると。
そこに姉の田中凛子(たなかりんこ)。
俺の義妹が艶やかな黒の髪を整えながら居た。
「どうしたの?お兄。顔が死んでる」
「.....ああ。まあ色々あってな。.....気にしないでくれ」
「そう?でも気になるけど」
「俺は何時もこんな死んだ顔だよ.....気にするな」
そう言い聞かせながら俺は牛乳を取り出して飲んだ。
取り敢えずカリカリしない様にしなければ。
思いながら凛子の顔を見る。
凛子は鼻歌混じりで家事をしていた。
「相変わらずお前は髪の毛も顔立ちも綺麗だよな」
「まあね。髪の毛はお手入れに時間掛かっているし」
「まあ大変だな」
「あのね。お兄。そういう美少女呼ばわりとか変なのナシだよ。むず痒い」
困惑しながら苦笑いを浮かべる凛子。
でもな確かにその通りなのだ。
かなり美少女である。
泣きぼくろが特徴的な目がクリッとしているEラインも整っている様な。
何処ぞのアイドルみたいな。
俺とはマジに似て非なるものである。
「お前は凄いよ。.....凛子」
「何いきなり?.....それって褒めてる?貶してる?」
「どっちかな。.....ははは」
「もー」
しかしどうでも良いが。
凛子に知られる訳にはいかない。
心から俺を応援している凛子に、だ。
この浮気を。
思いながら俺は凛子に内緒で厳しい目をした。
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