ドルヲタサブロー３

27

２週間はあっという間に過ぎた。

ゆみるんは配信を続けた。

選抜のことは一切触れなかった。

吉と出るか凶とでるのか。

公演は相当の倍率だったらしい。

みんな当たらなかった。

その代わり同時配信される。

僕たち三人はイチローさんの部屋にいた。

ドルパの若い人たちとはSNSで繋がった。

固唾をのんで見守るとはこういう状態のことだろう。

公演がまもなく始まる。

どういう形で始まるのだろう。

ステージが暗転した。

まずひとつめのスポットライトがひとりのメンバーを照らした。

くうちゃんだった。

オルトが歓声をあげる。

ドルパのくうちゃん推しの方からも通知が来る。

２番目３番目とスポットライトが当たっていく。

僕とイチローさんは緊張して黙っている。

７番目８番目。

まだむあちゃんもゆみるんも居ない。

何人なのかもわからない。

１２番目むあちゃんにスポットライトが当たった。

イチローさんが天井を見上げガッツポーズをした。

おめでとうございます。オルトと僕がねぎらった。

１３番目１４番目。

まだだ。

そして最後です。とアナウンスがあった。

心臓がきゅっとなった。

１６番目。

スポットライトが当たった。

ゆみるんが泣いている。

涙でゆみるんの姿がかすんで見えた。

遂にやった。

遂に推しが選抜に選ばれた！

なんというか。興奮して言葉が出てこなかった。

イチローさんに肩をもまれた。

オルトが抱きついてきた。

三人とも選ばれたんだ。

呼ばれた順番が立ち位置順だった。

そうだ。くうちゃんがセンターだ。

こんどはオルトが泣く番だ。

なんという日だろう。

舞山さんから歓喜の通知が続けざまに来ている。