19
その日はずっと寝ていた。
実は今まで会社を病欠したことがなかった。
別に健康そのものというわけでもないのだけど風邪をひいてもひどくはならず
休むまでにはならなかった。
それが今日はいつもと違って熱が出て仕事をできる状態ではなくなっていた。
課長が心配してくれた。
奥さんが連絡してくれたのだろう、かおりさんから連絡が来た。
励まそうとして連絡してくれた。
僕はぼやっとした頭で通知を読み返信した。
”大丈夫ですか。ちゃんと食べなきゃダメですよ”
”食欲ないから大丈夫です。”
”食べなきゃだめです。私が作りに行きましょう。”
”大丈夫大丈夫”
実際は大丈夫じゃなかった。
ここまでひとりぐらしでひどくなったことがないから途方に暮れていた。
部屋には食べるものがなかった。
確かに食欲はないのだけど何か食べないといけないのはわかった。
”行きますよ。住所は聞けばわかるから”
”大丈夫イチローさんが来てくれるから”
と嘘をついてなんとかかわす。
それでどうにか納得してもらった。
かおりさんの優しさは嬉しかったけど、部屋にはしおみさん以外を呼びたくなかった。
本当にやばくなったらイチローさんに助けを求めればいいと思った。
返信して疲れてまた眠ってしまった。
夜中に目が冷めた。
まだ体が熱い。
この状態だと病院にも行けない。
コロナかどうかもわからないままだ。
ずっと天井を見ていた。
朝になっても同じ状態だったらイチローさんに連絡を入れようと思った。
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