13
次の日の朝、しおみさんとの通話。
昨日の公演のことを話す。
舞山さんのことを省いて。
本当は話すべきなのかもしれない。
どうするか迷っていた。
でも実際にしゃべっていると舞山さんのことをしゃべって余計な心配をさせてしまうのではないかという気持ちの方が強くなった。
だからそっくり舞山さんとの話は除いてしゃべった。
通話が終わり、どこかにもどかしさが残った。
しおみさんだって向こうで誰か男性と楽しい時間を過ごしているのかもしれない。
そうだとしても通話では話していないのかもしれない。
そう考えてももどかしさは消えなかった。
今日はテレワークだったのでそのまま家で仕事をした。
しおみさんは男性と仲良くなんかしているんだろうか。
急に心配になった。
それはここに居てはわからないことだ。
お互い様か。
もしかしてしおみさんも僕のことを心配しているだろうか。
あまり仕事ははかどらなかった。
離れているということはやはりもどかしいことなのだ。
それはわかっていたけど、実際にこんな気持ちになってみて実感した。
仕事の終わりにオンライン会議をする。
青田がいつになく元気なさそうな声をしていた。
「青田どうした元気がないぞ」
「はい。ちょっと調子が悪いです。」
「感染したか?」
「たぶん違うと思います。」
そういえば青田は病欠したことがない。
基本的に頑丈なのだ。
その青田が調子悪いというのは心配だ。
「なんでわかるんだ。」
「お腹の調子がわるいんです。」
なるほどそれはコロナっぽくないな。
「変なものでも食べたんだろう。」
「ちょっと食べ過ぎました。」
はは、そんなことか。
養田さんが笑っている。
「食べ過ぎはいけませんね青田君」
「すいません。気を付けます。」
青田と話していると気がまぎれる。
なるようにしかならないか。
とちょっと楽観的に考えられるようになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます