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結構話が盛り上がってきて奥さんが自家製のケーキを振舞っていたら、ピンポーンって呼び鈴が鳴った。
奥さんが玄関に行き、戻ってきた奥さんと一緒に入ってきたのは姪の友田さんだ。
びっくりした。
友田さんはドルヲタではない。
やったあケーキに間に合ったとか言っている。
結婚式の時打ち解けていっぱい話してから会っていなかった。
その時の感じのまま友田さんはひさしぶりですと話しかけてきた。
仕事で会ってた時のような思わせぶりな態度ではもうない。
友達同士な感じだ。
もう僕に彼女が居ることも知っているし。
友田さんは下の名前をかおりと言った。
「姪のかおりです。」と奥さんが紹介した。
「ドルヲタじゃありませんが、ケーキ目当てです。」と笑って続けた。
それから友田さんも会話の中に入ってドルヲタ話を盛り上げた。
だんだん話の輪がちらばって、そのうちかおりさんとふたりだけになった。
なんだろう、波長が合うというのだろうか。
僕は普段そんなに話をするほうではないのに、かおりさんと居ると会話が弾んだ。
それは結婚式のときも感じていたことだった。
そして話をしている時にふと別の感情を意識するようになった。
それはなんというのだろう惹かれているという思いだった。
しおみさんが居るのにそんな感情になることに罪悪感を感じた。
昔館山さんにいろんな人を好きになってしまうのは異常なのか聞いたことがあったのを思い出した。
館山さんはそれは普通だよ。誰にも魅力はあるしいろんな人を好きになる。
それを理性でコントロールしているだけだよ。と云われてその時は安心したのだった。
そうだよな、一人の人しか好きにならないなんておかしなことだ。
魅力的な人は世の中にいっぱいいる。
ただ僕は理性をコントロールできるだろうか。
僕がそんなことを考えながら会話をしているなんてかおりさんは気づいていないだろう。
かおりさんと仕事で会ったとき、とても無口な静かな人だと思っていた。
今、目の前にいるかおりさんはとってもおしゃべりで楽しそうにしている。
そのギャップがなんというんだろう僕のこころを揺さぶった。
だめだ、だめだコントールしなきゃ。
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