第30話 暴露女 (3)ボス攻略編
「フユくんさすがっ、ありがと〜」
「離れててくれませんか」
俺が無理やり美咲を引き剥がすと目の前には毒沼のフィールドが広がっていた。毒沼は浅いのかところどころに小動物の白骨死体の一部が見えている。天井からはドロドロと腐った蔦から何かが垂れ、その真ん中には
「あれ……なに?」
千尋は
「だから、気性が荒いって言ったじゃん」
美咲はそう付け加えたが気性が荒いでは済まされないくらいの変貌だ。
本来の
しかし、俺の目の前にいるのはそんな
「千尋、あらゆる防御魔法をつかって小さくなってろ」
「えっ、美咲は?」
メス顔の美咲を無視して俺は剣を手に毒沼に足を踏み入れる。
固有スキル:テレバシー、サイコメトリー、毒の息、魅惑の瞳、生命の息吹
その他スキル:草魔法(全)、水魔法(全)、毒魔法(全)、毒の蔓、毒の棘
弱点:烈火、解毒、心臓
検知スキルで分かったのは
俺は毒無効スキルを展開して上で
数日前に阿修羅様のスピード感に慣れていたおかげもあって
(
【悲シイ、苦シイ】
【ミンナ、ワタシ、殺シタ】
(
【私ノ声……聞コエル?】
(あぁ、聞こえるよ)
【助ケテ! 苦シイ、胸ガ苦シイ】
毒の息をかわし、毒沼に落ちた骨を足場にしながら
しかし、検知スキルでも彼女本来の能力である治癒系の能力が検知できない。やはりおかしい。
そもそも、本来の
神獣の突然変異? あの阿修羅様が本気モードになった時みたいな……。いや、だとしたら弱すぎる。
「フユくん! 頑張って!」
美咲の黄色い声援が飛ぶとさっきまで俺を見ていた
狙いは美咲のようだった。
【ヨクモ、私ノ、カワイイミンナヲ!】
<スキル:毒薔薇の終焉>
「千尋! 防毒だ!」
千尋が慌ててバリアを展開して美咲と一緒に縮こまる。2人を庇う様に間に入りつつ、魔法で大技を跳ね返す。そんなことしつつ時間を稼ぎながら俺はある一つの答えに辿り着いた。
俺はもう一度、美咲を検知する。
黒澤美咲
固有スキル:針千本
その他スキル:早着替え、光の矢、誘惑、メイクアップ、7変化
弱点:打撃
俺はさらにもう一度彼女に検知スキルをかける。
<スキル:針千本>
効果:針をありとあらゆる場所に出現させることが可能。
種類:麻痺針、毒針、眠り針
「そうか、分かった」
俺は剣をしまうと大技を終えて隙ができた
後ろの方で千尋と美咲の悲鳴が聞こえたが、俺は無視して
【ありがとう……】
(復活できるな?)
【循環器に刺さっていた毒針が抜ければ容易いものです】
(よかった)
——生命の息吹
俺を抱きしめたまま、
まるでオアシスのような空間はとても美しく、小春日和のような心地よい香りが俺たちを包む。子鹿が跳ね、可愛い動物たちが俺の足元に集まって服をひぱったり体をすり寄せたり……。
固有スキル:生命の息吹、復活、超再生、治癒(全能力)、不老不死、若返り、真実月光
その他スキル:5大魔法(全)、光闇魔法(全)、召喚、瞬間移動、透明化、全防御、かばう心、誘惑、幻惑、慈悲の心
弱点:猛毒
「フユくん! 大丈夫? これ、何があったの?」
「大丈夫、心配ない」
千尋が安心してため息をつくと、千尋の少し後ろで美咲がこちらに笑顔を向けている。それはどういう笑顔だ?
「ありがとう。冒険者よ。私を地獄の苦しみから救ってくれて……真実をみつけたああなたにこのスキル結晶を授けましょう」
<スキル結晶:真実の月光>
効果:真実の姿を暴く光
数年前に彼女に出会った時は「孤独と向き合いなさい」とテレパシーのスキル結晶をもらったっけ。このように
「ねぇ、何のスキル? 私にも見せてよ」
俺は美咲の方に向き直った。「私も欲しいわ」とシラを切っている彼女を見ると反吐が出そうだ。この女は俺が思っている何十倍も邪悪な女だ。
「美咲……いや、美咲さん。これら全てはあなたの仕業ですね」
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