4章 スキルガチャ配信編
第25話 スキルガチャ配信(1)企画編
「俺の企画は……ずばり! スキルガチャだ!」
「スキルガチャ?」
「そう、この動画をみてくれ」
俺は千尋のスマホで有名なダンジョン配信者のとある動画を見せた。アーカイブ再生回数は数千万回、コメントや高評価も非常に良い。
「すごい、何回も同じ魔物を倒しているの?」
「そう、モンスターがスキル結晶になる時生成される獲得スキルは1つってのはわかってるよな?」
「うん、そのボスモンスターが持っているスキルの中でランダムで生成されるんだよね」
「そ、それをガチャるってこと」
冒険者界隈ではある程度強くなるといくつかのダンジョンで解禁されているスキルガチャをして熟練度を高めるわけだ。俺もまだ配信をやっていた頃はスキルガチャ配信を何度かしたことがある。
「でもさ、それってして大丈夫なの? 最近モンスターにも権利があるとかいう団体もあるし炎上しない?」
「あぁ、スキルガチャが解禁されていないダンジョンでやると炎上する」
「解禁ってどういうこと?」
「主に倒された後も記憶を継承するモンスター、神獣でその神獣が人間に対して許可をしている場合のことだ。なんというか、いるんだよ……バトル狂みたいな神獣がさ」
そう、バトル狂という言葉はあいつらにはふさわしいな……。
「あっ、この千手観音も?」
「それは千手観音じゃなくて《阿修羅》様な」
阿修羅様は物理系のスキルを豊富に所持していて、冒険者に人気の神獣だ。俺も数度戦ったことがあるが戦えば戦うほどこちらを攻略してくるのでとても楽しかった。
「千尋も回復系や防御系以外のスキルを習得したほうがいいしな」
「そう?」
「あぁ、もしも俺がどうにかなった時は助けてもらえるし? まぁでも、女の子が強くてもあんまりバズらないんだよなぁ」
「あっ、ちょうどよかった。なんかね、フユくんがバズってるんだよぉ、ほら切り抜き」
千尋が見せてくれた切り抜き動画は恐ろしい再生数だった。切り抜き動画の設定上半額がこちらに入ることになってるがそれだけでも数百万の利益になるんじゃないか……?
「やっぱり、夏樹くんってすごいんだなぁって」
俺は照れ臭くなって後頭部を掻いた。BANされてからまだ少ししか立っていないが、みんなに褒められていたことはすごく幸せなことだったんだと改めて実感する。「ま、まぁね」
「あ、赤くなってる。じゃあさこんな企画はどう?」
千尋は自信満々に俺の前に仁王立ちすると
「フユくん強化計画! スキルガチャ編! どどん!」
どどん! って……。でも、めちゃくちゃバズりそうな企画だ。
「じゃ、俺はスキルガチャできそうなダンジョンピックしとくわ」
「私は、予告編動画の構成考える」
「よし、コテージに戻ろうか」
「ふぁーい」
千尋と一緒にテントを片付けて、俺たちは次なる配信のために下準備を始めたのだった。
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