第21話 王

 目が覚めると、豪華な医務室のベッドで横たわっていた。


 悠「今度はどこだよ」


 ???「おおお、目が覚めましたか」


 引き戸を開けて入ってきたのは、黒いスーツにマントを羽織った"丸坊主"の眼鏡男だ


「私の名はメント、王室で医者をしている。起きて早々申し訳ないが、クライス王があなたをお呼びだ。ご案内します」


 メントは医務室の引き戸を開けて、エスコートした


 何だ、このハゲ、ついていきゃあいいんか?でも、こいつの耳を見る限り


 尖ってる


 アリスと同じこいつは間違いなく人間を喰うエルフだ

 俺はもう躊躇しない。この世界で雪を助け出すためには殺してやらないとなぁ


 俺はポケットナイフを取り出そうと、ポケットをまさぐった


 え、ない


 ナイフがない、拳銃もだ


 すると、メントが立ち止まり、振り返る

 メント「変な気を起こさない方がいい、あなたたちの世界など、我々にかかれば2分で滅ぼせる」


 俺は固唾を飲んだ


 メント「ご安心を、我々はあなたを取って喰う訳じゃない、たとえあなたが人間の家畜であろうとね」


 俺たちは大きな扉の前までたどり着いた。鎧姿の歩兵が、ドアを開ける


 大きな部屋の最奥中央の玉座には、カーテンの隙間から太陽の光に照らされた

 ほおずえをついた、男が昼寝をしていた


 男は整った髭に青のスーツに赤いマントを羽織っていた


 メント「彼が、アルタイル王国の国王、クライス王だ」


 クライス「んあぁ?」

 それはそれは間抜けな声で起きたクライス王


 悠「あれがクライス王か」


 クライス「すまない、昼寝が好きなもので、仕事がないときはほとんど寝ている」


 クライス「ほほう、君が世界を繋ぐ能力を持つ人間か」


 ダグ「よぉ、生きてたみてぇだな」

 ダグとコロウが日陰から姿を現した

 コロウ「無事のようじゃな」


 悠「じいさん、あなたが事情を話してくれたのか?」


 コロウ「いかにも」


 悠「クライス王、教えてくれ、なんなんだこの能力は」


 クライス「我々は、その能力をウォークと呼んでいる。ティードの目的はウォークの使える者同士の子供を何人も産ませることだ。だがこの力はエルフには発現しない。だから君たち人間の世界から子供や女をさらっていたのだ」


 クライス「ティードの海賊団にはガウスという男がいてな、そいつは人間で君と同じウォークの力を持った男だ」


 トンネルで襲ってきたやつか


 クライス「君たちがなぜウォークの力を使えるかはわからないがこちらにとっても、ティードたちにとっても、君たちの能力は戦力になる」


 悠「何が言いたいんだ」


 クライス「我々に力を貸せ、ティード海賊団を潰す」

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