第12話 推理

 AM5時 東京郊外 民家

 警察隊が、新たな殺害現場として捜査を進めている


 釜野「監視カメラのバグで犯人の姿をとらえられていない」

 悠「これまでの殺害はカメラの異常はあったのか?」


 釜野「これまでの事件は全て東京のここより田舎の方だったからな」

 釜野「異常がない、というより、カメラがあまりないんだ」


 悠「なぜ犯人は今になって、カメラのある都会寄りの民家を狙ったんだ」


 ???「すみません、遅れました!!」


 釜野「遅いぞ!姫野!」


 姫野「す、すみません!!」


 低身長のスーツ姿の女刑事がいた


 悠「彼女は?」


 釜野「今日からこの事件に新たに捜査に加わった姫野刑事だ」


 姫野「本日付けで参りました姫野沙耶と申します!新米ですが、よろしくお願いします!」


 姫野は俺に向かってぺこりとお辞儀をした


 釜野「悠、こいつの面倒見てやってくれ」


 悠「は?なんで探偵に頼むんだよ、新人教育は警察の仕事だろうが」


 釜野「一目見てわかる、お前と姫野は相性がいい。頼んだぞ。」


 押し付けられ、釜野は去っていった。


 おいおいマジかよ


 姫野「あはは、行っちゃいましたね」

 悠「そうだな」


 名取「新人の子かい?」


 悠・姫野「うわぁ!」


 気づかぬ間に名取が背後に立っていた


 悠「なんだよ、脅かすなよこの棋士」


 名取「ところで、監視カメラに異常があったらしいな。これまでの犯行にはない展開だな」

 名取「面白い」


 不気味ににやつく名取


 遺体を回収して鑑識が調査するため、俺たちは捜査本部へ戻った


 悠「で、意見を聞こうか、にやにや棋士さんよ」


 名取「そういう君は探偵だろう。まず君の意見を聞かせてくれよ」


 姫野「私も悠さんの意見が聞いてみたいです!」

 姫野はキラキラとした眼差しで俺を見つめる


 悠「犯人はなぜ、監視カメラの揃った市街地に近い場所を犯行に選んだのか。奴はスリルを味わっているんじゃないか?」


 名取「...スリル??」


 悠「おう、だってわざわざこんな市街地の比較的死角の少ない近い場所を犯行に選んだんだぜ?」

 姫野「でも、監視カメラを細工してますよね、ほんとにスリルを味わいたいだけなら監視カメラなんていじらないんじゃ...」


 悠「...」


 名取「君は転職した方がいいんじゃないかな、まるで推理下手だ」


 悠「はっきり言うな!」

 名取「だが、スリルを味わいたい、それは同意見だ。」


 姫野「え、まじ?そうなの!?」


 悠「そんなに驚くな、傷つくだろうが」


 名取「推理は、一度犯人の気持ちになってなぜそういう犯行したのかを考えることで、アイデアが湧く」

 名取「民家は古い木造の家だ。僕が犯人なら家を燃やして痕跡を全て焼却するだろうね」


 名取「僕は犯人じゃないから全ての動機は理解できないが、僕は犯人と同じくスリルを味わうことは好きだ」


 名取「おそらく犯人は東京の田舎から比較的遠い場所に住んでいる」

 名取「犯行に使われた矢だが、クロスボウを使っている」


 名取「だが、そこまでは警察の捜査で分かっていることだ」

 名取「僕はここまで犯人が僕たちの裏をかいて7回も殺害して逃げおおせれているのは何か理由があるはずだと考えた」


 悠「犯人は警察の動向を読むことができる、っていいたいのか」


 名取「そう、つまり犯人は警察関係者の中にいる」

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