第11話 異常な棋士

 19時 飛鳥探偵事務所

 俺は事務所に帰り、所長の姿はなかったが、念願のシャワーを浴びた


 俺は何やってんだ、誘拐された被害者が今もあの世界に捕らわれているのに、殺人事件の捜査なんて...

 やっぱあの時、帰らない方がよかったんじゃないか


 ピンポーン


 事務所のインターホンが鳴り、服を着て出ると


 名取「やぁ、悠」

 悠「名取さん...」


 名取「食事を持ってきた、良ければ一緒に食べないか」


 悠「あぁ、じゃあどうぞ」

 俺は名取を汚い事務所に招き入れ、椅子に向かい合い座った


 名取「サンドイッチだ」

 名取は弁当箱を開けて、綺麗に収納されたサンドイッチを二つ取り出した

 サンドイッチにはレタス、トマト、卵がマヨネーズの上に敷かれており、俺は大きく口を開けて食べてみた

 俺はもともと野菜嫌いだが、これは美味しいと感じた


 悠「美味いな...」

 名取「お口に合ったようで何よりだ」


 悠「名取さんの本職は、将棋の棋士だっけか?」

 名取「あぁ、そうなんだ。試合でたびたびテレビにも出させてもらって、悠君もまた一局どうだい?」


 悠「いやぁ、将棋したことないし、俺が名取さんと将棋しても勝てるわけないよ」


 名取「それはわからないぞ、人間には1つ必ず生まれ持った能力がある。君にとってそれは将棋かもしれないし、探偵業かもしれないそれはかもしれない。それを知るためには色んなことにチャレンジすることだ。まずは将棋をしてみるところからだな」

 悠「かもしれないな」


 俺たちは食事を済ませて、名取は帰っていった。


 21時 東京郊外のとある民家

 名取は、軽自動車を走らせ、ある民家へ向かった


 名取「ここにしようか」

 名取は民家の前に車を停めて降りた


 名取「フーンフンフーン♪」

 名取はパソコンを開き、サイトにコードを打ち込む。

 すると、路上の監視カメラがジャックされ、機能停止となった

 身をかがめて、鼻歌を歌いながら後部座席からクロスボウガンとポケットナイフを取り出した。


 名取は民家のドアのカギをピッキングでこじ開けた


 少女「だぁれ?」

 クマの人形を抱きかかえたパジャマ姿の幼女がいう


 名取「おじさんはね、君たちを救いに来たんだ。」

 名取「今、0に還してあげるからね」


 ヒュン!


 名取は矢がセットされたクロスボウガンを幼女に向け、発砲した


 バタン!


 矢が腹部に命中した、幼女は後方に倒れ込んだ


 父親「なんだ、どうしたんだ!」

 父親が音に気付き、玄関前に出てくる


 父親「ひよりぃい!!」

 幼女を抱きかかえて泣く父親にクロスボウを構えて、発砲


 名取はそのままキッチンへ向かう


 母親「きゃぁぁぁ!!やめてぇ!!!来ないでぇえ!!」


 母親は叫びながら、包丁を振り回す


 名取「大丈夫ですからね、みんな救ってあげます」


 母親にクロスボウを向け、


 母親「やぁめてぇええ!!」


 発砲


 いずれの遺体の腹部に、ポケットナイフで0を刻む。


 名取は民家から出ていき、自宅へと帰ったのであった。

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