第35話:佐々木さんにプレゼントする

 翌日のお昼。


 今日もいつも通り屋上で佐々木さんと一緒にお昼ご飯を食べていた。ちなみに今日のお昼はサンドイッチだ。


「うん、今日のお弁当も美味しいね! このツナマヨサンドも美味しいし、こっちのたまごサンドも凄く美味しいよ!」

「そっか。まぁそれだけ喜んでくれるのなら良かったわ。でも何だか今日のアンタ……いつもよりテンション高くない?」


 佐々木さんはサンドイッチを食べつつも、キョトンとした表情をしながら俺にそんな事を言ってきた。


「え、そうかな? はは、そんな事ないよ。いつも通りのテンションだよー」

「? まぁアンタがそう言うんなら別に良いんだけど。あ、それと昨日のLIMEは何だったのよ? “お弁当用の箸はまだ買わないで”って……あれってどういう事よ? まぁ今は部活で忙しいからお箸を買いにいくのはまだ先にはなると思うけどさ」


 続けて佐々木さんはキョトンとした表情のままそんな事を俺に尋ねてきた。実は昨日のお昼に俺は佐々木さん宛てにそんなメッセージを送っていたんだ。


「あぁ、うん、ちょっとね。実は俺から佐々木さんにプレゼントがあるんだ!」

「え? 私に?」

「うん、そうなんだ。それじゃあ……はい、これ!」

「え?」


 という事で俺は鞄の中に入れていた包装されている小箱を取り出していき、それを佐々木さんにプレゼントとして渡していった。


「えっと、何よこれ? 開けてみていいの?」

「うん、もちろん。是非とも開けていってよ」

「うん、わかった。それじゃあ……って、わわっ!」


 佐々木さんはその小箱の包装を開けていくと、中からは赤色のお箸と青色のお箸の二膳が入っていた。


「え、これって……もしかして弁当用のお箸??」

「うん、そうだよ。凄く良さそうな色合いだったから佐々木さんも気に入るかなって思って買ってきたんだ」


 俺は笑いながら佐々木さんに向かってそう言っていった。


 という事で俺は昨日の午後に駅前のデパートに行って、若者向けっぽいお箸を探して購入してきたんだ。そしてそれを佐々木さんにプレゼントしていったんだ。


「え、えっと、でもこの箸を私にって……どうしたのよ急に?」

「いや、いつも佐々木さんにはお世話になっているなって思ってさ。いつもお弁当を作ってくれたり、お菓子を作ってくれたり、簡単なレシピを教えてくれたりとか、料理本とかも紹介してくれたりとか……もう本当に色々と佐々木さんには助けられてるなって思ってさ。だから今までのお礼も込めて、今回は俺の方で壊れちゃった箸をプレゼントさせて欲しいなって思ったんだ」

「え、えっと……そ、そっか……」


 俺がそう言っていくと佐々木さんは何だかビックリとした表情を浮かべ始めていった。


「あれ? 俺何か変な事を言っちゃったかな? 何か佐々木さんビックリとした感じになってるけど?」

「え? あ、いや、別に変な事とかそういう事じゃないのよ。でも何ていうか、男の子からそんな風に感謝されながらプレゼントを貰うのって始めてだったというかその……ちょっとビックリとしちゃったのよ」

「え? いやいや、俺は今までにも佐々木さんに感謝の言葉をいつもちゃんと送ってたでしょ?」

「い、いやまぁそうなんだけど……でも私からしたら別に大した事をしてるつもりなんて全然本当になかったのよ。だから山田が私にそんなにも大きく感謝してくれてるなんて思わなかったからちょっとビックリというか……うん、嬉しいわ。ありがと。山田から貰った箸……大切にするわね」

「うん、そうしてくれると俺も嬉しいよ」


 そう言って佐々木さんは満面の笑みを浮かべながらそう言ってきてくれた。佐々木さんも喜んでくれてるようで良かった。


「でもさ、プレゼント自体は嬉しいんだけど……でも何でこの箸二膳もあるの? 壊れたのは私の箸だけなんだけど?」

「いやー、実はデパートに買いに行ったら一膳だけ買うよりも二膳セットを買った方が遥かにお得だったんだよね。だから今回はお得だった二膳セットを買ったんだ。まぁそれだけの理由だから気にせず佐々木さんは好きな色の箸を使ってよ」

「ふぅん、なるほどね。うん、それじゃあ私はこの赤色のお箸を使わせて貰うわね。それでこっちの青色の箸はせっかくだから山田のお弁当箱に使おうかしら?」

「あぁ、それは良い案だね! せっかくの二膳セットのお箸だし余った方も俺のに活用してくれたら嬉しいよ! はは、でもそうするとあれだね。お箸だけは佐々木さんとお揃いって事になるね?」

「ふふ、そうねー……って、な、何言ってんのっ!? な、何だかその言い方だとまるで夫婦箸みたいじゃないのよ!?」

「え? めおとばしって……何?」

「え……って、え!? い、いや知らないのなら別に気にしないで良いわよ! あ、絶対に調べるんじゃないわよ!!」

「え? あ、う、うん、わかったよ?」


 佐々木さんは思いっきり挙動不審な態度を取りながらそう言ってきた。まぁ流石にそこまで強く言われたら調べる事はしないでおこう。


 という事でその後は話題をガラっと変えていき、昨日初めて炒飯作りをしていった話とか、真唯と一緒にゲームで遊んだ話などをしながら楽しくお昼休みを過ごしていった。

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