第18話:そういえばバレー部には何で入ったの?

 それからも俺達はお弁当を食べながらノンビリとお昼休みを過ごしていっていた。


「あ、そうだ。そういえば佐々木さんってバレー部を始めたきっかけとかってあるの?」

「え? バレー部に入ったきっかけ?」


 一緒にお昼ご飯を食べている時、俺は何の気なしにそんな事を佐々木さんに尋ねていってみた。


「うーん、まぁ友達に勧められたから始めたってだけよ。ほら、私って身長高いでしょ? だから運動系の部活に入った方が良いって言われてさ。それでその友達がバレー部に入るって言うから私も一緒に入った感じよ」

「へぇ、そうなんだ? まぁ確かに運動系の部活なら身長が高い方が有利に働く事って何かと多そうだもんね」

「うん、そうね。まぁ部活ではこの身体のおかげでそれなりに活躍出来てるんだけど……でもやっぱりもうちょっと細い感じの身体の方が良かったなぁ。ガタイが大きいってのはあんまり可愛くないから好きじゃないのよね……うーん……」

「え? あ、う、うん、そっか……」


 そう言いながら佐々木さんは自身の二の腕や太もも周りをムニムニと触りはじめていった。


 流石に女の子がそういう仕草をするのはちょっとえっちぃ感じがするんだけど……でも佐々木さんはそんな事を気にしてないようだ。


(というよりも自分が魅力的だって事をあんまり認識してないのかな?)


 前にも桜井さんや七種さんと比べたら全然可愛くないってちょっと自虐めいた事を言っていたし、もしかしたら佐々木さんは自己肯定感みたいなものが低いのかもしれないな。


 という事で俺はエールの気持ちも込めて佐々木さんは魅力的な女の子だという事を伝えていく事にした。実際に口に出して伝えるのはちょっと恥ずかしいけど、でも今回は友達のために一肌脱ぐとしよう。


「えっと……まぁ佐々木さんは自分ではガタイが大きいって思ってるのかもしれないけど、でも全然そんな事はないよ。普通に平均的な感じだと思うよ?」

「いやいや全然そんな事ないわよ。普通に大きい方なのよ。だから私服とかも基本的にラフな服装ばかり着ちゃってるのよ。あんまりゆるふわな可愛い服装とか私には全然似合わないしさ」

「えっ、そうなの? でも佐々木さんだって凄く可愛いからスカートとかワンピースとか可愛らしい服装も似合うと思うけどなぁ」

「うん、そうなのよ、私って本当に似合わな……って、は、はぁっ!? か、可愛いっ!?」

「え……って、あっ! い、いや、その……」


 俺は佐々木さんのそんな話を聞いていたらついつい本音を口にしてしまった。そしたら案の定お互いに顔を物凄く赤くする事になってしまった。


(ま、まぁでも……それは本当に思ってた事だし別にいっか)


 俺としては佐々木さんは可愛くて魅力的な女子だと思っているし、そんな佐々木さんにも自信を持ってもらいたいと思っているからさ。だから本音を口に出してしまった事に後悔はしてない。


 でもそういう事を堂々と発言していくとセクハラ発言だと思われてしまう可能性もあるので、これからはもっと気を付けて発言をしていこうと改めて思った。まぁでも……。


(でも佐々木さんの私服姿かぁ……それはちょっと見てみたいかもしれないなぁ)


 佐々木さんの制服と運動服の姿しか見た事がない俺としては、私服姿の佐々木さんもちょっとだけ見てみたいなと思っていった。


 ラフな恰好という事はジーパンとかパーカーとかそういうシンプル目の恰好なのかな? 佐々木さんは身長が高くてスタイルも良いからそういうシンプルな服装を上手に着こなしていきそうだよな。


 うん、これはいつか佐々木さんの私服姿も是非とも見して貰いたいなぁ……。


「ど、どうしたのよ? 急に黙っちゃってさ……」

「え? あ、あぁ、いや、何でもないよ」


 すると佐々木さんは顔を赤くしたまま訝し気な様子でそんな風に尋ねてきた。


 でも俺が今考えていた事を素直に佐々木さんに話せるわけもないので、俺は咄嗟に何でもないといって誤魔化していった。


(まぁでも、これからもっともっと仲良くなっていけたら、いつか一緒に遊びに行ったりとかもしたいな)


 だって佐々木さんとこうやって一緒に過ごすのって何だか凄く楽しいからさ。だから佐々木さんと一緒に遊びに行けたら凄く楽しいんだろうな。


 まぁでも今はまだ普通の友達という関係だけど、これからもっと仲良くなって一緒に遊びにいける程の仲になれるように頑張っていこう!


 という事で俺は改めてそんな事を思いながら、その後も俺達は他愛無い話をしながらお弁当を食べ進めていった。

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