第8話

 次の日のお昼休み。 今日も俺は佐々木さんと一緒に屋上に来ていた。


「はい」

「ありがとう、佐々木さん!」


 という事で今日も佐々木さんからお弁当を受け取った。 早速お弁当を開けてみると、今日の中身はピーマンの肉詰めとサラダに卵焼きが詰められていた。 昨日と同じく非常にカラフルなお弁当だった。


「今日も凄い美味しそうだね。 それじゃあ、頂きます!」

「うん、どうぞ」


 俺は手を合わせてから早速ご飯を食べ始めた。


「うわ、すごっ! このピーマンの肉詰めかなり美味しいね! ピーマンの苦味が全然無くて食べやすいよ!」

「そう、それなら良かったわ」


 俺がそう言うと佐々木さんは少しだけ嬉しそうに笑ってくれていた。 俺はそのままパクパクとピーマンの肉詰めを食べていった。


(これだけ美味しいピーマンの肉詰めだったら真唯も食べれそうだなぁ……)


 俺はピーマンの肉詰めを食べながら妹の真唯の事を頭に思い浮かべていった。


 昨日のはめっちゃ細かくしたピーマンだったから真唯も食べてくれたけど、でも昨日の感じだとそうじゃない限りはやっぱりピーマンはまだ食べてくれそうにもない。


 でも佐々木さんの作ったピーマンの肉詰めは全然苦味は無いし、これなら真唯も食べれる気がする。 今度佐々木さんにレシピを教えてもらおうかな。


「……あ、そういえば」

「うん? どうしたの?」


 俺がそんな事を思っていたら、唐突に佐々木さんが俺に話しかけてきた。 俺は何事かと思って聞き返した。


「昨日は何で覗きなんてしてたのよ?」

「えっ!? あ、あぁ……部活の話?」


 覗きと言われて一瞬焦ったけど、でもよく考えたら昨日の放課後に覗き見してたわ。 昨日の女子バレー部とバスケ部の合同練習を覗き見していた。


「まぁどうせ夏江君に誘われたんでしょ? 一緒に春香の応援をしてほしいって言われたんじゃないの?」

「……あ、あぁ! うん、そうそう! 夏江が桜井さんの応援をしたいから一緒に応援してくれって言われてさ!」

「ふふ、まぁそんな事だろうと思ったわよ」


 桜井さんが勘違いをしてくれてるようだったので、俺はそのまま友達を売る事にした。 せっかくだから、このままあの二人についての話を振ってみる事にした。


「そういえばさ、夏江と桜井さんって付き合い始めたのって先週くらいかららしいね」

「あぁ、うん。 そうらしいわね。 昨日も思ったけど、春香と夏江君はとても仲が良さそうで羨ましいわ、ふふ」

「あぁ、それは俺も思ったよ。 あの二人って結構お似合いなカップルそうだよね」


 佐々木さんが微笑みながらそう言ってきたので、俺も笑いながらその言葉に同意した。


「あ、そういえば、山田は夏江君みたいに彼女作ったりしないの?」

「え? 俺? うーん、そりゃあ出来れば欲しいけどさぁ……」


 唐突に佐々木さんはそんな話を俺に振ってきた。 いやもちろん俺だって彼女は欲しいけど……でもどうやったら彼女が作れるのか全然わからない俺にはハードルが高すぎるわ。


 というかなんか昨日も夏江とそんな話をした気がするんだけど……まさか佐々木さんともそんな話をするとは思わなかった。 まぁせっかくだから俺も佐々木さんに同じ質問をしてみる事にした。


「そういう佐々木さんこそ彼氏とかは作ったりしないの?」

「え、私? うーん……」


 という事で俺も佐々木さんにそう尋ねてみたんだけど、でも佐々木さんはあまり気乗りしないような表情をしていた。


「あれ、あんまり気乗りしない感じ? あ、もしかして今は部活が忙しいから彼氏は要らない感じなのかな?」

「うーん、まぁそれも確かにあるけど。 でも……」

「でも?」


 もしかしたらバレー部が忙しくて彼氏とか作ってる暇はないという話かなと思ったんだけど、でもそうではないようだ。 それじゃあ一体……?


「いやそもそもだけどさ、私みたいなのと付き合いたい男子なんていないでしょ」

「あぁ……はい??」


 佐々木さんが唐突に放ってきたその言葉の意味が全く理解出来ずに……俺は素っ頓狂な声を上げてしまった。


“私みたいなのと付き合いたい男子なんていないでしょ”


 ……い、いやマジで何を言ってるんだこの人は??

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