クラスの女子にお弁当を分けてもらい「旨い!旨すぎる!!」とべた褒めしていたらいつの間にか彼女が出来た話
tama
第1話:屋上に行くとクラスメイトの佐々木さんと遭遇する
高校二年生の二学期のとある昼休み。俺こと
―― ぐぎゅるるぅうう……
教室の中で俺のお腹が盛大に鳴っていた。大ピンチとはただの空腹だった。
「はぁ……腹減ったなぁ」
いつもコンビニでおにぎりとか菓子パンを買っているんだけど、今日は財布を忘れてしまい、昼食を買う事が出来なかった。
友人にお金を借りて購買に行くことも考えたんだけど、仲の良い友人は部活のミーティングやら委員会の集まりだとかで、皆教室から出て行ってしまっている。
仕方なく俺は空腹を我慢しながら教室で眠る事にしたのだけど、でも周りからは美味しそうなお弁当の匂いが漂ってきていて色々ともう辛すぎる……。
(……いや、これは教室で眠るのは流石に無理だなぁ……)
周りの匂いを嗅ぐ度に余計に腹が減る。そしてこのままだとまたお腹がなりそうで恥ずかしい……。
という事で俺は教室で眠る事を諦めて一旦教室から離れる事にした。うーん、でもどこか時間つぶしが出来る場所なんてあるのかな……?
(……あ、そうだ!)
俺はすぐに良い場所を思いついた。この学校の屋上に人が滅多に来ないようになっている。
だから屋上に今から行けばきっと静かだろうし、それにもう夏の気温もだいぶ落ち着いて昼寝をするのにもポカポカしてちょうど良い気もする。
(よし、それじゃあ早速屋上に向かってみるとしようかな)
そう思った俺はすぐに自分の席から立ちあがっていき、そのまま屋上に向かって歩いて行った。
◇◇◇◇
―― ガチャン
屋上の扉を開けていき、俺はそのまま屋上に入った。すると屋上には既に先客として1人の女子生徒が座っていた。
「「あ……」」
こんな時間に屋上に誰かいるなんて思ってなかったので俺はビックリした。もちろん向こうの女子生徒もビックリしていた。
その女子生徒は1人で黙々とお弁当を食べていた。俺はすぐさま周りをキョロキョロと見渡してみたけど……どうやら屋上にはこの女子生徒1人だけしかいないようだ。
「え、えっと……佐々木さん1人だけなの?」
「……わるい?」
「い、いや悪くはないけどさ」
その女子生徒は俺と同じクラスの
さらに身長は167センチくらいのちょっと背の高い女子で、特徴的なスタイルとして豊満なおっぱ……じゃなかった! い、いやまぁなんというか戦闘力(意味深)が高めの女子ということで。
髪型は黒髪のポニーテールで、ピアスやネイルなども一切しておらず、真面目な女子生徒だという印象もある。
それと佐々木さんの性格はサバサバとした性格で、優しくて頼れる姉御肌みたいな所もあるので女子や後輩からの信頼がとても厚い子だった。
また男子側からしてもそんなサバサバとした性格のおかげで冗談や軽口めいた事を言い合ったりしやすい女子ということで、男子からの人気もそれなりに高かったりする。
という事で俺にとっても佐々木さんは気軽に話せる数少ない女子友達の内の1人だった。
◇◇◇◇
佐々木さんと屋上で遭遇してから程なくして。
俺は佐々木さんの隣に座りながら他愛無い話をしてお昼休みを過ごす事にした。
「それで、今日はどうして屋上でお昼を食べてるの? 佐々木さんっていつもは教室でお昼食べてたよね?」
「あぁ、うん。確かにいつもは春香と一緒に教室で食べてたんだけど……でも最近春香に彼氏が出来ちゃってね。それで春香としてはやっぱり彼氏と二人きりでご飯を食べたいだろうと思ったからさ、だから今日はお昼は春香に遠慮して一人でコッソリと屋上に来たってわけよ」
「へぇ、そうだったんだ」
佐々木さんの話を聞いてると、どうやら普段は同じクラスの
でもその桜井さんについ先日彼氏が出来たらしいんだ。それで恋人同士の邪魔するのは良くないと思って、佐々木さんは一人で屋上に来てコッソリとお昼ご飯を食べていた、とのことだ。
「あ、でもそういえば教室を出る時に桜井さんと夏江が楽しそうに一緒にご飯食べてたなぁ……って、えぇっ!? あ、あの二人って付き合ってるのっ!?」
「うん、そうそうー……って、え? もしかして山田は知らなかったの?」
「い、いやそんなの全然知らなかったよ! え、えぇ……なんかショックだなぁ……」
「へぇ、その口ぶりからすると、ひょっとして山田も春香の事を狙ってたの? まぁ春香は物凄く可愛いしねー。ふふ、でもライバルが沢山いて残念だったわね?」
「え? い、いや、別にそういうわけじゃないんだけどさ。でもなんか皆青春してるんだなぁって思うとさ……すっごく羨ましくなるじゃん?」
「ふぅん? ま、そう思うんだったら山田もさっさと彼女を作って青春すればいいんじゃないの?」
「いやいや、そんな簡単に彼女が出来たら苦労しないでしょー!」
「はは、そりゃあそうだわ」
そんな感じで佐々木さんと他愛無い話をしながら時間を潰していったのだけど、でもふとした瞬間に佐々木さんの食べているお弁当につい視線が行ってしまった。その結果……。
―― ぐぎゅるるぅうう……
「えっ!? な、なによ今の音!?」
「……えへ」
俺はあまりにも恥ずかしかったのでとりあえず笑ってごまかした。でもそんな俺の態度を見て佐々木さんはジト目で睨みつけてきながらこんな事を尋ねてきた。
「あのさ、すっごい今更だけど……山田、昼ごはん食べてないの?」
「え、えぇっと……あ、あはは……いや実はさ……」
という事で俺は佐々木さんに今日の経緯を説明する事にした。
…………
……
…
「……はぁ、何やってんのよアンタ」
「あ、あはは」
俺は素直に全部伝えると、佐々木さんは呆れたような顔をしながらこっちを見てきた。
「でもそういえば、確かに山田って教室でいつもおにぎりとか菓子パンばかり食べてたわね。ご両親は共働きとかなの?」
「うん、そうなんだ。だからいつも昼飯代を貰ってコンビニでパンとかおにぎりを買ってから登校してるんだよ」
「ふぅん、そうなんだ」
「そういう佐々木さんは? そのお弁当は親御さんが作ってくれてるの?」
「いや、私の家も両親共働きだから。だからこのお弁当は私が作ってるのよ」
「へぇ、そうなんだ……って、えぇ!? ま、マジで!?」
俺は佐々木さんの言葉を聞いてかなりビックリとしてしまった。どうやら佐々木さんが今食べているお弁当は自分で作ってきた物らしい。
「自分でお弁当を作ってるなんて本当に凄いね! 俺には毎朝お弁当を自分で用意するなんて絶対に無理だなぁ……」
「んー、まぁ私の場合は家から学校が近くて朝の時間に余裕があるからね。それに料理自体が好きだからついつい色々なモノを作りたくなっちゃうんだよね」
「へぇ、そうなんだ! でも色々な料理を作るなんて本当に凄いよ! それは凄く良い趣味だね!」
「ふふん、まぁねー」
俺は尊敬した眼差しでそんな事を言っていくと、佐々木さんは満更でも無さそうな様子で嬉しそうにしながらお弁当を食べ進めていっていた。
そしてそれからも俺はそんな佐々木さんのお弁当をじっと見つめていった。その佐々木さんのお弁当は本当にとても美味しそうなお弁当だった……。
……ゴクリ……。
「……はぁ、ったく……もう、しょうがないわねぇ。ほら」
「……え?」
突然と佐々木さんはため息をつきながら、佐々木さんは今食べていたお弁当を俺の方に近づけてきた。
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