09話 レベル5になるために!(ゴブリン達との戦い・後編)
「アガアアッ!!」
パワーアップが完了したのか、ムキムキ度が上がったゴブリンが私を睨みつけて、大声で叫んだ!
「こっ怖い!もしかしたらムカムカベアーより怖いかも!
あんな凶暴そうなゴブリンと私、本当に戦わなきゃならないの!?負けるビジョンしか浮かばないんだけど!?」
私が怯えて後ずさりすると…
(戦う前から諦めないでください!
確かにさっきみたいな子分のゴブリン達を倒した時のような攻撃では倒せないかもしれませんが…)
「でしょうね!だからここは逃げるという選択肢で間違ってないよね?そうだ、逃げるが勝ちってことわざだってあるし…」
(話は最後まで聞いてください!
優梨さんは先程、多くのゴブリン達を倒した事でレベルが2→3にアップしていたんです!)
「いつの間に…?」
(だからレベルアップしたことによってまだ勝機はあります!)
「本当に…?」
(私を信じてください!あなたを強くしたいという気持ちはあっても、危ない目に合わせたいなんて微塵も思ってませんから!)
「そっか…そうだよね…アイルちゃんは私のことを強くしたいだけなんだよね…
事ある毎に疑ったりして、最低だな…」
私はアイルちゃんの純粋さに胸がキュッと締め付けられる思いがした。
(信じてくれますか…?)
「信じるよ。私、決めた。
アイルちゃんの言葉をもう疑ったりしない。
私のために言ってくれてるんだもんね。
だから私もその思いに応えられるように努力してみるよ。まぁ、怖がりな性格はそう簡単には治らないとは思うんだけどね…」
(優梨さん…ありがとうございます…)
「お礼なんて照れるよ…」
私とアイルちゃんが感動に浸っていると…
「アガアアッ!!」
存在を無視されているのに腹を立てたのか、ゴブリンはこっちを見ろと言わんばかりに
大声で叫ぶと、子分達の持っていたより一回り大きいサイズの尖ったトゲが複数刺さったいかにも棘バットみたいな棍棒を地面に何度も叩きつけて走ってきた!
「いつまでも感動に浸ってる場合じゃない!アイツを倒す方法を教えて!」
(では試してみましょうか!)
「何を…?」
「優梨さんはレベルアップしたことによって、術力が上がったので、初級の術なら唱えられるようになったんですよ!」
「そうなの!じゃあ、術を何か教えて!」
("ファイヤー・ショット"を唱えてみましょう!)
「ファイヤー・ショット…?」
(詳しく説明するとですね!ファイヤー・ショットは炎の術の中でも最弱の術で大人から子供まで簡単に出せる、初心者の扱える術の代表的な一つなんです!)
「それはありがたい!私にピッタリの術だ!
それで肝心の術の唱え方の方を教えてくれるかな?」
(はい!ファイヤー・ショットの術の唱え方は…)
「アガアアッ!!」
大事な所を聞こうとしたその時!ゴブリンがポイ!と何かを投げてきた!
「これって木の実…?」
(にっ逃げてください!これはボッカンの実っていう衝撃を与えたら爆発する木の実ですよ!)
「なんですと!?」
私は咄嗟にその場から離れた!するとボカーンッ!!と爆発が起こって煙が立ち込めた!
「ゴホッゴホッ、本当に木の実が爆発したよ!?」
(要はあの木の実は手榴弾みたいなもんなんです!
近くで爆発したら、威力強いんで、簡単にバラバラになります!気をつけてください!)
「あんなのまともにくらったら、本当にゲームオーバーだよね…あはは…って笑ってる場合か!!」
(そんな事言ってる場合じゃありません!またボッカンの実を投げてきましたよ!)
「えっ!?」
ヒョイヒョイとまたボッカンの実が飛んできた!
「いやぁ!!あのゴブリン、鬼だぁ〜!!」
私は飛んでくるボッカンの実の爆発から、全力で回避するために逃げまくった!
「このままじゃ駄目だ!!アイルちゃんどうしたら〜!!」
(今はとにかく逃げてください!あのゴブリンが持ってるボッカンの実を使い果たすまで!)
「ファイヤー・ショットだっけ!?それを唱えればいいんじゃないの!?」
(そっそれがファイヤー・ショットは立ち止まって、ちゃんと狙わないと当たらない術なんです!)
「そっそんな〜!!」
(だから今は逃げてください!)
「わかったよ〜!!」
私はそれから必死で落ちてくるボッカンの実の爆発を回避してたけど、気づいたら逃げ場のない絶壁の岩場に来てしまった!
「うわーん!!逃げ場がないよ!!
このまま殺されちゃうんだ〜!!」
(諦めるのはまだ早いです!)
「だって、逃げ場が…?」
(さっきから思ってたんですが、ボッカンの実が飛んできてません!)
「そういや…確かにそうだったかな…?」
(考えられるのは使い切ったのか、正確に当てるために最後の一つを残しているのか…
どちらにせよ、これはチャンスです!)
「チャンス…?ピンチの間違いじゃなくて…?」
(ピンチだって、時にはチャンスになる時だってあるんです!あのゴブリンが来るまでにファイヤー・ボールの唱え方をお教えます!)
「わかった!もうやるしかないよね!」
(いいですか!よく聞いてください!手で鉄砲の形を作って、狙う場所を定めて、ファイヤー・ショット!と叫んでください!それで撃てます!)
「フムフム、なるほど…ってそれだけだったの…?」
(えっ!そうですけど!)
「まぁいいや…わかったよ!その通りにやればいいんだね!」
私は手で鉄砲の形を作って、ゴブリンが来るのを待った、すると…
「アガアアアッ!!」
予想通りゴブリンは手にボッカンの実を持って、向かって来ていた!
(今です!まだこの距離なら相手は投げてきません!よく狙って撃ってください!)
「一番当てやすいのは胴体だ!!
当たって、ファイヤー・ショット!!」
私の指の先から炎の弾丸が勢いよく飛び出した!
「アギャアアッー!!」
そしてその炎の玉はゴブリンの腹を突き抜けた!
「うわぁ…グロいわぁ…」
そのまま腹に大きな穴が空いて、血まみれになって倒れ込んだゴブリンは動かなくなった!
(やりましたね!ゴブリンを倒しましたよ!)
「そっそうだね…やったぁ…」
(あれっ?嬉しくないんですか?
レベル12並のモンスターを倒すことが出来たんですよ!)
「嬉しいけどね…私、グロいのに…ちょっと、いや、かなり慣れてなくて…」
(そっそうでしたか…でも喜んでください?
優梨さんのレベルがなんと一気にレベル5にまでアップしましたよ!)
「わぁぁい…嬉しいな…」
アイルちゃんには申し訳ないけどグロすぎて、素直に喜べてない自分がいた。
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