運命の出会い

彼女は彼女よりも圧倒的に巨大なグリーンドラゴンの背中からグリーンドラゴンを踏み潰して、固そうな鱗に爪を突き立て、皮膚を切り裂き、巨木に叩きつけたが最後、グリーンドラゴンは動かなくなった。


「はい、おわり……大丈夫だった?人間」


彼女は血を拭ってから僕に近づいて、僕の心配をする。


「なんか人間、元気なさそう……わかった」


「え?」


僕はあっけに取られた顔をする。そんな僕を無視して彼女はグリーンドラゴンの死体に飛び乗って、頸を切り取ると、グリーンドラゴンの肉を大きく切り分けて、尻尾の部分を僕に持っていく。


「食ったら元気に、なる。食え」


彼女は少し自慢げにグリーンドラゴンの尻尾肉を差し出してくる、が……怪しげな魔物の尻尾の生肉、なんて、ただの一般人だったはずの僕には、簡単には手が出せなかった。しかし……


「人間、食欲無い?それとも私が……」


彼女の心配そうな瞳を見ていると、彼女の誘いを断りにくくなる。それに、彼女は僕を助けてくれた恩人なんだ。ここは重要な選択の気がする。ここで誤った選択をしたら、僕は今度こそダメになる気がする。僕は恐る恐るグリーンドラゴンの尻尾肉を貰って、かぶりつく。


「あ、結構美味しい……」


「うん、肉は美味い」


彼女は安心した顔で僕を見つめる。大丈夫かな、この後お腹壊さないかなぁ……なんて考えつつも、僕は尻尾肉を食らっていく。


「それじゃ」


彼女は姿勢を低くして、この場から去ろうとしている。いや、僕はまだ彼女に言っていないことがある。


「あっ、待って……」


「何?人間」


「その、助けてくれてありがとう……」


僕は情けない声でそう言った。しかし、彼女はその黄金の瞳を見開いて、振り返る。


「……人間」


僕は何かまずいことを言ってしまっただろうかと顔を俯かせて思っていると、彼女は僕に優しく微笑みかけてくれる。


「私、ライオリア。良かったら、それだけ覚えてて。今度こそ、それじゃ」


彼女は快活で気持ちのいい笑顔を見せると、今度こそ嵐のような速さで去っていく。

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