第55話.みずなとのチャット
あの後、時間も遅くなってきていたことで、祐希は一旦家に帰った。
そして今、絶賛みずな──正確には、みすなのお父さんだったんだけども──になんとメッセージを返すかを、食器を洗いながら悩んでいるところだった。
そもそもの話、みずなのお父さんが悪いと決まったわけではない。今はまだ推測の段階。まずはそこを突き止めることから返信するべきなのかな。
う〜ん……難しい……。
そんなことを考えていると、机においていたスマホが震えた。
もしかしてみずなから……? とも考えつつ、食器洗いを中断して、手を洗ってからスマホを取りに行く。
画面を見ると、祐希からのチャットが届いていた。今届いたのだけでなく、もう2件気づかなかったけど届いていた。
〔さっきああは言ったものの、全然やめてもいいからな?〕
〔みずなの動向には注意しておけよ?〕
〔まだ1人で行動すんなよ?〕
煽り能力が高いという祐希の特性を完全に無視したチャットに、僕は思わず頬が緩む。もう祐希、完全にキャラ崩壊してるじゃん。
その後、残りの食器洗いも終わらせ、時計を見ると午後8時半をさそうとしているところだった。
僕はスマホを取り、玄関の鍵を確認したあと、みずなにDMを送る。
〔まず始めに、コラボのお誘いありがとうございます! 受けるかどうかはまだ悩んでいますが、決める前に良ければみずなさん本人と話させてもらえないでしょうか?〕
とりあえず、みずな本人と連絡を取ることにした。
送って少しすると、返信が来た。
〔わかりました。また私に戻った時は、伝えさせていただきます。それでは、次のチャットからはみずな本人です〕
〔ありがとうございます!〕
〔きょうのうちに返信をくれて、ありがとうございます!〕
〔ずっと返信を待ってました!〕
〔本当は父親とかはないですか?〕
〔いえ、ちゃんと私です! と言っても、証明する手段がないですけど〕
〔とりあえずは信じましょうか〕
〔ていうか私、コラボ相手と自分で連絡取るの初めてなんですよね〕
……何に対しての"ていうか”? まぁいっか。
〔たぶん、というか絶対、今私緊張してるんですよね……〕
〔気楽にで大丈夫ですよ〕
〔すべてを任せてたので、私と話しても何も決まらないですよ?〕
〔いえ、ただ話してみたかっただけなので〕
〔けど……〕
〔まぁコラボするかを決めたかっただけなので〕
〔ていへんVTuberでごめんなさい〕
〔そ、そんなこと言わないでください!〕
……なんだろう、違和感がすごい。
そもそも配信のときのみずなの行動とは真逆だし、漢字を使わなかったり、変な日本語の使い方したり……。
「う〜ん……
《あとがき》
お知らせです!
本日7時より新作小説を公開します。
陽キャJKに憧れる陰キャJKの歌の勝手に小説化になります!
是非読んでみてくださいね〜!
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