第25話.最高のミックスライブ3期生!
「お兄ちゃんもよろしくねっ!」
「「……ん!?」」
2人は、理解が追いついていない様子で僕の方を見た。
「あれ? りーじゃん。え、りーもミックスライブ入るの?」
「「りー!?」」
「あの〜、凪くん? きゅいあさんが実際にお友達だけにとどまらず、リナさんとは実の兄妹なんですか……?」
しばらくの間、完全に空気になってくれていた最上さんが、僕にそう聞いてくる。……いやちょっと祐希、そんな目で僕を見つめないで!
「あ、そうですそうです」
「……俺ですら知らなかったんだが?」
「まぁ、言ってないからね」
「いやいや、凪さん! 普通の人は自慢するものですからね!?」
「別に自慢することでもないかなって。それに、自慢することでりーを困らせたら僕が嬉しくないからね」
「お、お兄ちゃん……!」
「見事にブラコンとシスコンなこった……」
「なんか、こういう姿のリナさんを知ると、そこまで緊張しなくなってきました……」
祐希から不名誉なものが与えられたところで、りーが1度コホン! と小さく咳払いを挟んで。
「とりあえず、外では皆さんのことはなんとお呼びしたらいいですか?」
「俺のことは祐希で」
「私のことは優奈と呼んでくれたら」
「わかりました! あたしは本名が吉村璃奈で、名前をこのまま使ってるから、りーちゃんとかお好きに呼んでください!」
「おう! んじゃ、りーちゃん、これからよろしくな!」
「よろしくおねがいします! あの、りーちゃんって今中学何年生ですか?」
「ん? あたしは中学2年生だよ!」
「わっ! 同じだ! 同い年同士、一緒に頑張りましょうね!」
「わっ、ほんと?! えへへっ! 中学生でこういうことしてる人、近くにいなかったから嬉しいなぁ!」
りーと優奈が仲良くなれたようでなによりだね!
ん? 僕がまったく会話に入れてないって? りーが幸せそうだから問題なし!
「早速仲良くなれたようですね。では皆さん揃ったことですし、中にご案内します」
収まりを見せ始めたのを悟ってか、最上さんがそう声をかけてきた。
☆
時刻は、午後5時。
今日事務所に訪問している全員が学生という、会社内で起こってはいけないことになっているのは一旦おいておき、事務所はすごかったの一言に尽きると思う。
徹底された設備や3D用スタジオ、さらにはここでも配信できるように、何十台もの配信環境が整えられていた。
まぁそれはいいとして、今は僕ら4人と最上さんで解散する前に1度、受付のある1階に集まっていた。
「皆さん、どうでしたか?」
「いやもう、すごすぎました……」
「あはは、気に入ってくれたようで何よりです。それでは凪くん。所属するかの最終判断をお願いしても?」
う〜ん……ここの環境はすごい整ってるし、所属したらもっと僕の人気も増えると思う。
ただ、やっぱりまだ活動始めたばっかってのが、気がかりになるんだよね……。
でも──。
僕は、後ろに立っている3人を見た。
「?」
「どうした、凪?」
「お兄ちゃん?」
──この3人となら、一緒に頑張ってみるのも面白いかもね。
「……所属、します!」
僕はこの決断を一生後悔しないだろう──いや、後悔しないような活動を僕が作り上げる!
「ふふっ、わかりました。社長にもそう伝えておきますね」
「凪ならそう言う気がしてたぜ!」
「これで、零様と一緒に活動する日が増える……!」
「やった! これで仕事中もお兄ちゃんと一緒だぁ!」
「……お前ら……いや、やっぱもういいや」
そうして、この日は解散となった。
《あとがき》
今日の夜(7〜8時頃の予定です)にもう1話公開します。
そして、1つお願いです。
この小説を読んでくださっている方の中に企業でのVTuber関連の仕事、配信者のみではなく(いないと思いますがw)事務所で働いているという方がいれば、よければコメント等で教えてくださると嬉しいです。
文中にある『徹底された設備や3D用スタジオ、さらにはここでも配信できるように、何十台もの配信環境が整えられていた。』という点が、実際にはどうなのかを知りたいからです。
もしよければ何卒……!
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