第15話.コラボ配信 4

 時は少し進み、参加型が始まる前。


「うぅ……零くんうますぎるよぉ……」

「あはは。これでも元7位ですから。しっかりと貫禄は必要ですからね。それはそうと、みか様はいつもどうりさすがでしたね」

「ちょっと零くん? それはどういうことかな?」


 うーん、でもやっぱり同じカートでも新旧で少し性能が変わっているみたいだね。全盛期には程遠いプレイしかできなかった……。




:零くんがうますぎる件

:新作初プレイで全部1位と聞いて

:元世界ランキング7位の名はだてじゃないな

:そしてみーちゃんは……

:いつもどうりだな

:待て待て、よく考えてみろ! 今回は、12位→8位→9位→11位→10位だった! これはいつもより1桁順位が多いのではないか!

:マ、マジだ!

:つまりこれが導き出す答えは──!

:下手だな

:うん、下手だね




「うぐっ。いやまぁ、ほんとのことだからいいけどさぁ……。じゃ、零くん! そろそろ参加型配信始めるよ?」

「あ、ちょっと待って下さい。その前にカート変えていいですか?」

「え? 全然いいけど……零くんはそのままで強すぎるんじゃない?」

「いえいえ、全盛期の頃には及びませんから」




きゅいあ -kyuia ch-:ほう、やはりお前も気づいていたか。さすがに気づかないレベルにまでは衰えてなかったか

:マ?

:十分うまいんだけどなぁ

:いや、まだまだ改善点が多い

:↑ニキめっちゃ上から目線で草。この執事元世界ランキング7位だぞ

:そ〜だそ〜だ! どうせ零くんより下の順位なのに、そんなこと言うな〜!

:あ、言ってなかったけど、私はその頃のアニカーの世界3位。これは別垢だけど

:ごめんなさい

:許して下さい

:手のひらくるくるで草

:てか世界3位も来てるの普通にすごくねw

:ここは世界大会ですか?




 コメント欄に世界3位が現れるのを横目に、零は新しいカートを選び終えた。


 そして、徐々に同接数が増えてきている中、ついに参加型アニカーが幕を開ける。


 そして、この参加型が後に【擬似世界大会】と呼ばれ伝説の配信になることを、このときはまだ誰も知らない。










  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る