第2話.初配信
「皆さん、こんにちは! 皆さんに笑いと感動を届ける、神宮寺零ですよ! 本日は、私の初配信に来ていただいて、ありがとうございます!」
:こんにちは!
:こんにちはです!
:同接1万人じゃん!
:え! イラストかっこよすぎない!?
:いや初配信にしては堂々としてんな
:ただの初配信に人集まり過ぎだって……
:まぁ、なぜか今他のVの配信がないからな
僕は画面の前のリスナーに挨拶をした。
同接は1万人かぁ……。初めてだから多いのか少ないのかわからないけど、陰キャオタクな僕が1万人もの人と話しているなんて……!
いやぁ、頑張ってお金貯めてから、このイラストを描いてもらったかいがあったよ! 左目が髪で隠れている、優しそうで少し子供っぽい顔立ち。そして執事服。ママの人、こんなにイラストうまいのになんでみんなに知られてないんだろう?
「それでは早速始めます! 初配信なのでいろいろ決めていきますよ〜! 今日決めることはこちら! ばばん!」
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・リスナーの呼び方
・私、神宮寺 零の呼び方
・次の配信でやってほしいこと
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:まさかの俺らに決めさせるタイプキタコレ
:まぁ、個人だしこんくらい自由でもいいでしょ
:声かっこいい……
:イラストかっこいい……
:イラストに負けない声のかっこよさ……
:ばばん!はちょっと可愛い
あれ? ちゃんと反応してくれる人少なくない?
「なんで私が決めなかったか、ですって? そんなのもちろん面倒くさいからに決まっています! ということで1つ目、リスナーの呼び方から! 私に合ったものを考えてくださると嬉しいです!」
:おいこの執事、堂々と面倒くさいって言いやがったぞw
:そのかっこいい声で呼ばれたいのは……
:下僕
:配下
:奴隷
:うむ、素晴らしいな
:うむ、どこを見て言った?
:全員ひどくて草
:何人か呼ばれたいだけの人いるだろw
「……さすがにもうちょっと呼びやすいのをお願いしたいのですが。俺の配下たち?」
:ぐはっ
:うっ!
:尊死多数
:素晴らしい四字熟語だな
:どこがや。っていうか四字熟語ですらねぇよ
:まぁ、もう満足したし許してやろう
:めちゃくちゃ上から目線
いつもどおり声出してるだけなのに、学校とはまるで反応が違うなぁ……。それより、このままだと時間掛かりそうだし、他のから先にしたほうがよさそうだね。
「時間かかりそうなので、一旦飛ばしますよ? 次に、私の愛称を決めていただきます!」
:はーい
:了解です!
:愛称かぁ
:でも愛称決めるなら俺らの呼び方を決めたあとの方がやりやすいんじゃね?
:そうだね。俺らが配下って呼ばれるのに、零ちゃんとか呼んだら関係性がわかんなくなるし
:わいもそう思うで
……あれ? もしかして全部決まらない? 世のVTuber達に問いたい。どうやって決めた?
「じゃ、じゃあこれも一旦飛ばすとして……」
:ちょっと不安になってきてるじゃんw
:大丈夫! いつか決めるよ! いつか、ね!
:そして決まらなかったという……
:草
:どんどん行こ〜
:お前はお前で軽いなw
:既にリスナーたちが扱いをわかっている……
「え、そんな私の扱いが分かる場所ありました? ま、まぁとりあえずいいでしょう。では、3つ目の次の配信でやってほしいこと……これこそ、最後に決めた方がいいですね。さて、困った」
:敬語が抜けるレベルで困っている様子
:大丈夫だ! 俺らもめちゃくちゃ頑張って考えてるから! あ、倒されちゃった
:めちゃくちゃ頑張って……?
:でも、私たちの呼び方って言われても、今まで決められてきてて考えたこともなかったから、ほんとに何がいいかわかんないんだよね
:なお、30分経過した模様
「えっ!? まだ何も決まってないのに!?」
やばい、本格的に時間がヤバい!
──それは、ほんとに突然のことだった。
…………え?
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