はるかの気持ち

第20話 はるかの生活1

~~~~~


時は遡りゆうまが出て行った約1ヶ月前へ。


~~~~~


「…ゆうま、、」

「いってらっしゃい」


死にそうなか細い声。

もちろん笑顔はない。

けど、いつものように口に出したはるか。


「…うん」

「行ってくる」


バタンっ



「・・・ゆうま」


シーン…


ゆうまが消えた玄関の扉を見つめるはるか。


ずっと2人で生活してきた家。

1人で住むには大き過ぎる家。

生活音がなくなった家。


10分はその場から動けなかった。

扉を見つめても変化はない。



スタ・スタ・スタ

バサッ


「ぐすっ。。。」

「くうっ ぐっ・・・」

「うぅ……」


寝室に戻ったはるか。

自分の枕で顔を埋めても聞こえる。

我慢ができなかった。


「あぁ………ぅ」

「…ぁ…あ゛….あ゛」


いつもなら、隣で慰めてくれた。

話を聞いてくれた。

優しく抱きしめてくれた。

困った時いつも横に居てくれた。

でも、今日はいない。


1人布団の中で泣き続けた。





・・・スゥ


気がつけば窓の外は真っ暗。

家の電気もつけていないから暗闇の中。

いつのまにか泣き疲れで眠ってしまったのだろう。


「・・・ゆうま!」


バサッ!

飛び起き隣を見る。

寝室にあるデジタル時計の微かな木漏れ日を元に、隣を探すが誰もいない。


「・・・」


カチっ


スマホを見ると20時前。

ゆうまからの連絡はない。

ただ、けいすけからお昼にLINEが来ていた。


「・・・」

内容はまだ見ていない。


スゥ・・・

バサッ


既読はぜずにそのままスマホを閉じ布団に倒れた。


「。。。ぐすっ」

また泣きそうになるのを堪えた。

けど、けど・・・。


「ゆうまごめんなさい」


どんな話でも聞いてくれていた事。

なんでも受け入れてくれていた事。

これまで普通だと思ってやっていた事。


だからこそ、はるかからしたら急な出来事とも感じていた。

でも・・・。


「…ゆうまの事ずっと、辛くさせていたのかな。。」


ゆうまの事好きだし、信頼していたからこそ、どんな事でもオープンにしてきた。

はるかからしたら、オープンにしているからこそ疚しいやましい事がないというアピール。

安心させるためにしていた事、けど。


「・・・なんでこうなっちゃったのかな。。」


誰かからそれはおかしい!なんて言われたことはもちろんない。

同棲や結婚をされるカップルでそれぞれのルールなどがあると思う。

だからこそ、客観的にそのルールなどが普通なのか変なのか、気がつかないままになってしまう。


「・・・ぐすんっ….」





時間を見ると21時過ぎ。


パチ


真っ暗だったリビングの電気を点けた。

いつもならゆうまが晩ご飯を作っている時間。


「…」


無音の少し広い部屋があるだけ。

お腹は空かない。朝から食べていないけど、食べたくない。


「…」

パチ


お水だけ少し飲んでまた寝室に向かった。


バサンっ….


カチっ


布団に入ってスマホを見るがゆうまから連絡がない。


「…ゆうま」


バタ

スマホを手に持ったまま下ろした。


「…」


ピロンっ

スマホが鳴った。


「ゆうまっ!」


サッ

けいすけからの追加のLINEだった。



「ゆうま・・・会いたいよ・・・」

「側にいてほしいよ….」


けいすけのLINEは開かずに、大きすぎるダブルベッドで囁いた。



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