第13話 再びあのベランダ2

「えっどうゆうこと?」


「いや、そのままだよ」

「いまお互いに感情もおかしくなってると思うし…それにちょっと1人で考える時間がほしい」


「結局別れるってこと!?」


「いやちょっと待って」

「…一旦離れるってこと。物理的に」


「だからそれって別れるってことじゃん!」


「違うって!さっき言ったでしょ」

「今ちょっと1人で考えたり整理したりする時間がほしいの」

「だけど、このままこの家にいたらそれが僕はできない…から」


「はるかの事もう嫌いだから離れたいだけでしょ!?」


「そうゆうところだよ!…違うって言ってるでしょ…」

「今は僕もこれまでみたいに冷静じゃないし、心もおかしいから」

「だから時間がほしいって言ってるの」

「わかる?」


こう言う事が良かったのかは分からない。

けど、初めて言ったはるかの嫌な所や、自分の気持ちを隠さずに伝えた。


「…うん」


「ありがとう」

「僕はちょっと自分の実家で過ごすから」

「いつでも連絡は出来るしつくけど、実家のほうで考えたいから」

「…僕の言ってることわかる?」


「…うん、、わかる」


「はるかはこのままこの家に居ていいから」

「お家の事は自分でやらなきゃだけど、お家で過ごしてていいから」


「えっ…でも。。」


「いいはるか…」

「あの事もあったし、お家の事やはるかの事があるこのお家にいると今の僕はちょっとおかしくなっちゃうの」


「…」


「これまで家事とかご飯とかほとんど僕がやってきたから、いきなりやってって言うのもキツイと思うけど…ホント今はここから離れたいんだ」


「…ごめんなさい、、」


「…」

「ちゃんとまた戻ってきてお話しするから」

「はるか、いいね」


「…うん、、わかった…」


「…ごめんね」


「…ちゃ、ちゃんと戻ってきてね」

「うぐっ…ぐぅ、、」


また泣いてしまったはるか。

その言葉に返答はできなかった。


「はるか…今日はもうお休みしようか」

「疲れさせてしまってごめんね」


「うぐっ・・・うん」


「ほら、ベット行き」

「おやすみだよ」


いつもだったら寝室まで連れ添い一緒に寝る流れだが、この日は寝室に向かうはるかを追う事が出来ずそのままリビングのソファーで寝た。



次の日



まともに寝ることもできなかったが朝が来た。

時間はいつものように進んでいる。

けど、2人の時間はいつもと違う。


はるかは寝室から出てこない。

ゆうまは実家に帰る支度をする。

これまであった「おはよう」のやり取りはない。

いつもの家が知らない人の家のように感じた。


「…ふぅ」

そんな中、支度を済ませたゆうまは玄関に向かう。


スタスタっ


玄関の廊下に寝室があるがあれから締まったままだ。


「…」


ガチャ


布団がこんもりしている。


「…はるか」


「…」


「…じゃ行くね」


「…」


声をかけた時、布団が動いたので起きているのは分かったが返答がない。


「…」


バタンっ 

ゆうまは起こしたりせずゆっくり扉を閉めた。


「…」


スタ、スタ、スタ

短い廊下がすごい長く感じた。

いつも仕事行く時寝室で声をかけたら必ず」いってらっしゃい」と声をかけてくれていた。

それが、ない。


「ふぅ…行くか」


荷物を持ち靴をはいた。


ガチャ

玄関のドアノブに手をかけた時。


ダダッタ

ガチャ


「ん?」


振り返ると寝室の扉を開けたはるかが立っていた。


「…はるか」

目元が真っ赤に腫れている。

痛々しいくらいに。


「…ゆうま、、」

「いってらっしゃい」


死にそうなか細い声。

もちろん笑顔はない。

けど、いつものように口に出したはるか。


「…うん」


そうゆう言うゆうまは玄関を開け外に出る。

…なぜだろう、その瞬間に涙が溢れた。




実家までは電車やバスを使って2時間ほどの場所。

帰省した際はすごい長く感じた移動もこの日はあっという間に着いたように感じた。

どうやって移動したのかも覚えていない。


頭には昨日の事、さっきの事、初めて見たはるかの声や表情。

それらが出ては消え出ては消えを繰り返し、答えの出ない自問自答をしていた。

それでも身に染みている実家までの道を歩く。



気がつくと家まであと数分。


「あっ…地元だ」 

歩きながら昔見た道や風景を見て少し意識が戻ったのを感じた。

「帰ってきたんだなぁ…」


また少し涙が出た。なんの涙か分からない。

でも、無意識に出た。


「ふぅ…」


ずずぅ

溢れた涙を拭き、鼻をすすった。


「よし、帰ろう」


スタっ


と、実家の敷居に入ろうとした時、懐かしい声を聞いた。


「あれっ?ゆうま!?」


「…ん??」


名前を呼ばれたゆうまが振り返る。


「ゆうまじゃん!めっちゃ久しぶり」


「…あっ。きょう姉!?」


そこには昔からよく面倒を見てくれてた8歳年上のお姉さん。

きょうかが笑顔で立っていた。



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