過去

第10話 二人の過去と経緯1

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二人の出会いは、とある専門学校。

入学初日、クラス割で同じ教室になったのが出会いの始まり。


その専門学校は一般的な大学のような勉強の仕方とは異なり、クラス単位で勉強するような形。

さらに中学や高校のようにクラスの委員会のようなものもあり、担任から名指しで任命された。


「はじめまして、はるかと言います」


「はじめまして、ゆうまと言います」


「はじめまして、りょうと言います」


人見知りのないゆうまに対して、表面上は気丈に振舞うも心配性のはるか。

お調子者のりょう。

担任から強制的に指名されクラスをまとめるために顔合わせしたのがきっかけ。


それからだんだんとクラスのこともお互いのことも話すようになった。



初めは自分のさらけ出さなかったはるかも、ゆうまの前では素が出せるようになりお互いに色んな話をした。


仲良くなったきっかけはたくさんある。


ゆうまは4人兄弟の長男で、はるかも3人兄弟の長女。

お互いにゲームや漫画が好き。

などなど。


はるかはお兄ちゃんもいるが、ちょっと変わったお兄さんだったこともあり、昔からお兄ちゃんらしいことは一切されたことがなかった。

そんなこともあり、ゆうまのお兄ちゃんらしいさや、対応などがこれまでになかった気持ちを抱かせ好意を寄せていった。


また、ゆうまとはるかはそれぞれちょっと変わった家庭環境だったこともお互いが理解し合えるところもあり仲良くなったのだ。


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ゆうまは四人兄弟の長男。

兄弟は珍しいくらい仲が良く、1つ下に長女、6つ下に次男、9つ下の三男という構成。

実家は築が古い物件の2LDK。

家は大きくないため家を出るまで一部屋を妹と半分こにして過ごしている。

よくある部屋の真ん中に2段ベットをおいて右側がゆうまで、左側が妹。


友達に言うと「すごい」とよく言われたものだ。

思春期の時期に妹を同じ部屋ってやばいって(笑)。


ただもっとすごいことがある。

それは両親。


父親はもう足を洗っているが、昔に暴走族の総長をやっていたり、その後ヤクザをやっていた。

ゆうまはもう見慣れているが親父の背中には観音様の刺青が彫ってある。

そんな父親だったためゆうまが小さい頃にはそうゆう関係の人を話すことも多々あり、例えば左の小指の第一関節がない人や、両肩に竜の鱗の刺青を彫っている人など。

そうゆうこともあり、ゆうまは人を見た目や職業・学齢などでは判断せず、自分の目と感覚で人を見ることに長けていった。


父と母の出会いは、母が勤めていた水商売のお店。

当時色々と現役だった父の接客をしたのが母。

それから色々あり僕をお腹に預かり喜ぶ母に対し、堕ろせという父。

親父は子供が大嫌いだった。

そんな親父に対し、母は「一人でも産むから」と堕すことを拒み続けなくなく結婚したのだ。

いわゆるできちゃった婚で生まれたのが僕。


今となっては子供が好きになった親父はゆうまのおかげだと言われたこともある。



「ママが産むって言うから産むことになったけど、初めは堕すつもりだった。」

「でも、お前が生まれてくれてきたおかげで子供が大好きになったし、今となっては4人も子供ができて感謝しているんだ。」

「生まれて来てくれてありがとう」


これはゆうまが小学3年生の冬に、親父と車で2人きりになった時に言われた話。

昔にそう思っていた罪悪感がずっとあったようで、僕に打ち明けた親父は涙を流していた。


「急になんだよ〜!まぁいいじゃん!」

と返す僕。



と静かになった時間があり父が、

「さっお家に帰ろうか!」


ぶ〜ん


自宅の駐車場に着いた。

僕は何故か1人になりたいと思いそのまま車に残り父は家に。


「…」

すぅーと。

涙が溢れた。

理由はわからないが、たくさんでた。


その記憶は今もある。


それらが原因かはわからないが、そんな家庭環境の中で過ごしてきたゆうまは、自分より兄弟たちを、自分より友人を、自分より他の人を、自分の気持ちよりも相手が喜ぶことを1番に考えるのが普通となっていた。


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はるかは三人兄弟の長女。

6つ上にお兄さん、6つ下に妹がいる構成。

実家は3回は作り直している3階建の持ち家。

それぞれに自分の部屋があって不自由のない生活。

生活は上流であることは確かだった。

例えば、バスの乗り方を知らない、回転寿司に行ったことがない、スーパーの食材は家に配送されるのが普通など一般的なことを知らず生きてきた。。

さらに、小さな頃から習い事をたくさんさせられていた。

水泳に 習字に、ピアノ。

本人の意思はあまりなくやらされていたのだが。。


そんな中でもピアノは賞なども取るくらい上手くなり、高校卒業後には推薦で一流の音大に行くことも決まっていた。


…のだが、母親と喧嘩した際に母が投げたガラスのコップを防ごうと手を出した時に指の神経を切りピアニストの道は諦めることに。

このことがきっかけで親のことは嫌いになった。

いや、正確には小さな頃から大嫌いだった。


昔からメンタルが安定しない母親は、自分の思い通りにいかないとカッとなり手をあげる。

そうDVを受けていたのだ。

お兄さんも母の影響を強く受けている性格だったこともあり、はるかを妹扱いしたことがない。


お父さんは上々企業の役員を務め、家にいないことがほとんど。

そんな環境の中で育ったはるかは親の愛情というものを感じ取ったことがなく、家族や兄貴などに対し拒否反応があった。


結果的には指の神経を切ったことで音大を諦め、専門学校でゆうまと出会うことにつながるのだがそんな家庭環境の中で生きてきたはるかは、自分を守るために常にバリアを張り舐められないように常に気丈に振る舞うことが普通となっていた。



そんなはるかの心を溶かしたのがゆうま。

お兄ちゃんのような存在でもあり、安心もできる存在。


出会ってから一年後、二人は付き合うことになった。



付き合うことになった二人は初めてお互いの実家のことを話すことに。


今でも覚えている。

僕が親父のことなどを伝えた時のはるかは…見たことない顔でビックリしていた。

当たり前だ、親が元ヤクザなんて漫画のような話。


「す、すごいね。そんなお父様なんだ」


「…そう、ごめんびっくりさせたよね」


「…うん、固まったよ」


「ごめんね、でもこうゆうのは伝えなきゃって思ったから」

「ごめんね」


「ううん、ありがとう」

「ゆうまが素直に話てくれて嬉しいよ」


「そう言ってもらえてよかったよ」


「あ、私も言わないとだね」


「ぜひ聞きたいな」


「〜」

親のこと、指のこと、お兄さんのことなど色々聞いた。


「そっか。はるか大変だったね」


「うん…こんなこと誰にも言ったこともないよ」


「言ってくれてありがとうね」

色々聞いた。けどゆうまは特にびっくりもしなかった。

まぁ、色んな世界の話を聞いたり見たりしてきたからだと思う。


だけど、一つだけビックリしたことがあった。

はるかから聞いたことで。


「あっでね」


「うん、他にもある〜?」

気楽に気聞かえすゆうまにはるかが。


「母親なんだけど…」


「うん」


「ちょっと家系があれなの」


「ん?家系??」

普通に生活をしていて聞き慣れない言葉に戸惑いながらも聞く。


「うん、家系」

「あのね」


「なになに」



「母が〇〇家っていうんだけど」

「この家系ってね、天皇系の血筋なの」


「…えっ、、」



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