第53話

 ある夫婦が事故物件に住むことになりました。最初は物件の安さと広さに魅かれていた二人でしたが、すぐに不気味な現象が起こり始めました。


最初の頃は些細なことから始まりました。ドアが勝手に開いたり閉まったり、物が勝手に動いたりするなど、まるで見えない何者かが存在するかのような感覚を抱かせる出来事が頻発しました。夜になると足音やささやき声が聞こえ、家具が勝手に動き回ることもありました。


しかし、それはただの物理的な現象ではなく、次第に霊的な存在との接触を感じるようになりました。夫婦は寝室で何度も幽霊のような姿を目撃し、触れることもあったと言います。その姿はぼんやりとしており、不気味な光を放っていました。何度も霊的な存在に対して怒号を浴びせる夜が続きましたが、それでも現象は収まることはありませんでした。


ある日、夫婦はこの事態に耐え切れず、霊能者に助けを求めました。霊能者は物件の過去を調べ、そこで悲劇的な事故が起こったことを突き止めました。何年も前、この物件で一家が事故に遭い、命を落としたのです。それ以来、亡霊が物件に取り憑いているのだと言います。


霊能者は浄化の儀式を行い、亡霊を鎮めるための祈りを捧げました。しばらくは現象が収まり、夫婦は一時的な安心を感じました。しかし、数週間後、再び物件は怪奇な活動を始めました。亡霊はより激しく現れ、夫婦に対して攻撃的な態度を取るようになりました。


夫婦は絶望感に打ちひしがれ、もはやこの場所から逃げ出したいと思うようになりました。彼らは再度、専門家の助けを求め、事故物件からの引っ越しを決断しました。引っ越しの日がやってきたとき、夫婦は深い安堵の気持ちとともに物件を後にしました。


事故物件での恐怖の心霊体験は、夫婦の人生に大きな影響を与えました。彼らはそれ以降、心に深い傷を抱えながらも、新たな住まいで幸せを見つけることができました。しかし、彼らは決して事故物件での出来事を忘れることはありませんでした。

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