事故物件の恐怖体験

第52話

　ある家族が事故物件に引っ越しました。最初はただの噂や都市伝説だと思っていた彼らでしたが、その物件に住み始めてから怪奇な現象が次々と起こるようになりました。

最初の数日間は何事もなかったのですが、ある夜、家族全員が同時に目を覚ましました。彼らが目にしたのは、部屋の隅に立つ不気味な黒い影でした。影は急速に近づき、その存在感は圧倒的でした。家族は恐怖におののき、叫び声を上げましたが、影はただ消え去りました。

以降も家族は度々、不可解な現象に遭遇するようになりました。家具が勝手に動き回ったり、壁に何者かが足跡を残したり、部屋中に不気味な声が響いたりと、その物件はまるで生きているかのような存在感を放っていました。

特に子供たちは霊的な存在との接触を感じることが多く、夜になると悪夢にうなされることも増えました。子供たちは見知らぬ人の姿や、怖い顔をした幽霊のような存在に追いかけられ、恐怖の中で目を覚ますことが日常的になってしまいました。

家族は次第に物件の過去について調べ始めました。すると、かつてその場所で悲劇的な事故が起こったことが判明しました。何年も前に、一家がその家で惨劇に見舞われ、死者が出たのです。事故の詳細は不明でしたが、その痛ましい出来事が物件に残ったのかもしれません。

家族は霊的な活動を専門とする人々に助けを求めることにしました。霊能者や神父を招き、家の浄化を行ってもらいましたが、現象は一時的に収まるものの、再び悪夢のような体験が続きました。

家族はついに物件を出ることを決意しました。新たな住まいへの引っ越しの日が訪れ、彼らは心を決めてその場所を去りました。物件から離れると、奇妙な現象は消え去り、家族は平穏な日々を取り戻しました。

しかし、彼らの心には事故物件での恐怖の経験が深く刻まれたままでした。そこで起こった心霊現象の恐怖は、二度と忘れることのできないものとなったのです。