中途半端な優しさ(ファンタジー表現あり)

私の家はおかしかった。


私の一家は代々医者の家系で、勉強の出来不出来で、家族からの扱いに差が出る。


姉は私より出来が悪いと言われ、日々虐げられている。


そのうち、姉は知り合いに養子に出すという話まで出始めた。


私1人ではどうすることもできず、家を飛び出し、途方に暮れていると、何と自称魔法使いに出会った。


魔法使いに、姉が愛されるように魔法をかけて欲しいと頼んだところ、容易にその願いは叶った。


しかし、やはり勉強が出来ないことを言われるのは変わらなかった。


私は魔法使いにお願いし、姉に自分が勉強した分の半分の努力値を与える魔法を使ってもらった。


姉は成績が上がってきたが、それに伴って私の成績は下がっていった。


だんだん私と姉の扱いは逆転していき、家族は姉にしてきたような扱いを私にしてきた。


そして、姉も他の家族のように私を虐げるようになってきた。


私は姉を助けようとしたのに…


姉は私の食べ物をわざと落とし、それを拾う私の耳元にこう囁いた。


お前なんて生まれて来なきゃ良かったのよ…お前のせいで私はあんな目に遭っていたんだからね…


私はそう言われた途端、今まで姉にしていたことが全て無駄だった事に気付いた。


私は魔法使いに、姉が家族から愛され、私の努力値を半分与える魔法を取り消してもらうように言った。


魔法はあっという間に消え、前と同じ状況に戻った。


ただ一つだけ、前と違ったのは、私も家族と一緒に姉を虐げるようになったことだ。


姉さん、妹の私でもできることができないのね?本当不良品!


姉はそれからすぐ養子に出された。


姉は養子となった後、養父母の元で荒れに荒れ、高校を半年残して中退、養父母からも見放されてしまった。


私はその後大学の医学部に入学し、見事医者となった。


それから10年、私は家族から愛され、婿養子をもらい、可愛い男の子を産んだ。


私はその子を最後に、子供を産まなかった。


もう、姉さんのような存在を生み出すのはたくさんだから…


ちなみに姉さんは、その後養父母の家を出て、それからの消息は不明である。


まあいい、あんな出来損ないの元姉、私の記憶からも消したかった。


だから私は、最後に魔法使いに、姉の記憶を魔法で消してもらった。


その後私は、姉の記憶を無くした。













私は代々医者の家系に生まれた一人っ子。


医者になるまでは大変だったけど、何とかなれた。


その後10年間医者として働き、私は医者の男性と結婚、婿養子として私の家に入り、待望の第一子が生まれた。


私は、子供は1人でいいと思い、それ以上子供を作らなかった。


そしてその子が小学校に入学した日、私と主人と息子は、知らない女性に殺された。


私の前で、主人と息子を刺し殺し、最後に私に向かってきた。


その女性は、私に何度も刃を突き立てながらこう叫んでいた。


お前さえいなければ、私の人生はもっとまともだった。


確か、そう言っていた気がする…


『ニュースです。今日お昼頃、〇〇小学校の校門前で殺人事件が起きました。警察はその場にいた女を殺人容疑で逮捕しました。容疑者は被害者女性の姉であると話しており、妹と妹の夫と息子を刺殺しだと供述しています。犯行動機は、養子に出される前に家庭内で妹だけが私に優しくしていた。その優しさが私を侮辱しているように見えて許せなかった。他の家族と同じく、最初から冷たい態度をとってくれていればこんなことにはならなかったと話しており、警察では、過去の恨みから犯行に及んだと見て、捜査を続けています。』

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