マイノリティ
うちの旦那は何もしてくれない。
子供が出来ても、独身時代と変わらず友人と飲み歩き、たまの休みにも寝てばかりで、子供の面倒を見るか家事を手伝うかして欲しいと言うと、
「家の事は全部女の仕事、男は仕事して家族を養う。昔からそう決まってんだろ。」
そう言ってやろうともしてくれない。
やっと子供が寝たと思った頃に
「ウェーイ!ご主人様のお帰りだぜーい!」
と大声を張り上げて帰ってくる。
今日は職場の後輩と盛大に飲んでいた。
近所迷惑だし、子供も起きて泣いてしまうからやめてと言うが
「貴様!ご主人様に指図する気か!?誰のおかげで働かなくともやっていけてると思ってんだ!?」
と怒鳴られる。
「すいません、先輩酒が入ると超気がデカくなっちゃうんで…」
よろけてばかりの旦那を抱えて連れてきてくれた後輩がそう言う。
そんなの分かってる…
分かっていたはずなのに、なんで私はこんな男と結婚してしまったのだろう。
よくあるパターンだ。
結婚するまでは優しかった。
でも結婚してからは冷たくなった。
親に反対されたけど、その時は彼こそが運命の相手だと思って、勘当してでも結婚するから!と押し切って結婚してしまった。
きっと彼なら、結婚して子供が出来ても、一緒に育ててくれるし、家事も手伝ってくれるだろうと信じて疑わなかった。
まさか、ここまで何もしてくれないなんて…
「こっちは俺に任せて、奥さんは赤ちゃんの方あやしてあげてください。」
そう言われたので、感謝の言葉を伝え、子供を寝かしつけようとしたが、家中に響き渡る程の旦那の声で、全く子供は寝られなかった。
結局、子供が寝てくれたのは旦那が静かになってからであった。
もう、精神的に限界になりつつあった。
「先輩も、悪い人ではないんですけど、職場で見せる顔と家で見せる顔って、違いますよね…」
後輩はそんな事を言っていた。
外面がいいのは私が1番知っている。
結婚するまでそれに気づけなかったのだから…
ある日、私は旦那と喧嘩をした。
家のことを全くしてくれない事に対して流石に我慢の限界だったからだ。
しかし、そんな私に対して旦那は怒りながら、
「お前達のために毎日働いているのに、感謝の言葉の一つも言えないような奴の手伝いを何でしなくちゃいけないんだ!?」
と言われてしまった…
悔しかったが、確かに今は旦那の稼ぎでやっていっている状態…
私はそれから感謝の言葉を口にするようにした。
すると、旦那も私を手伝ってくれるようになった。
そして私に対して
「今まで悪かったな…」
とまで言っていきた。
なんだ、これで全て丸く収まったのか…
そう言えば、私は旦那が働くのは当然だと思っていた。
それが間違いだったんだ。
そうだよね…育児するの当たり前って言われるのもムカつくし、男の人も仕事して当たり前って思われるの嫌だよね…
それからの私たちは円満だった…2年間だけは…
2年後、旦那から離婚して欲しいを言われた。
自分はゲイで、よく飲む後輩を好きになってしまったらしい。
普通になりたくて私と結婚して子供も作ったが、やはり私を恋愛対象として見る事は今日までできなかったらしい…
自分の気持ちに正直になりたいと言われた…
後輩には意を決してカミングアウト&告白しをて、奥さんんと別れてからなら付き合えますと言われたらしく、すぐにでも同棲したいとのことだった…
子供ができてからそんなこと言うなんて…
親にこんな理由を言えるわけもなく、今私は、福利厚生のしっかりしている、保育所付きの風俗店で働いている…
親には今も結婚生活を続けていると言っている…
その嘘もいつまで通用するかは分からない…
彼は一度も、私や子供にすら会おうとしなかった。
もう忘れたいからと言われた…
その後一度だけ彼を見たことがある。
後輩と幸せそうに腕を組んで歩いていた…
覚えといて…
あんたの幸せの裏で、私は身を売ってはたらくことになっているってことを…
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