私が貴方を包みます! ~変異してしまった彼の腕を隠すために、恋する編み物始めました~
けい
第1章「町にひとつの診療所にて」1
私のこれまでの人生の中で、ここまで真剣に取り組んだことがあっただろうか。
愛しい相手への想いこそ、この胸にはいつもあったことだが、いざそれを形にして彼に渡すということを、私は……
いつまでも、逃げていた。
そして……彼は、違う女の婚約者となった。
私の元になんて、来るはずもなかった。だって私は、何もしてなかったのだから。
『編み物はね、失敗してもすぐに直せるから、だから私、好きやねん』
その自分の言葉に、自分の心の一番醜い部分が漏れ出ていたことにはっとする。
失敗を極度に恐れる余り、彼との先に進むための関係を築くことなく、逃がしてしまうなんて。
もう、絶対にそんなことは繰り返さない。愛しい彼に、このセーターを、そして彼への想いを届けるのだ。
だから、もう――そんな辛そうに笑わないで。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます