「スポンサーの圧が強いタイプの浮気題材ドラマ」に学んだ女のざまぁとは?

クマとシオマネキ

ドラマとオレ〜浮気した人間は、企業連によって潰されるべき。

※この話は『スポンサーの圧が強いタイプの浮気題材ドラマ』を見た私の作品に出てくるタツのお話です。初見で楽しめるかどうかは疑問です。





 「ん〜博之さん、ダラダラとドラマを見る時間は最高ですねぇ♥これが主婦のダ♥イ♥ゴ♥ミ♥」


 俺は根多博之、歳は20代前半、授かり婚?というやつで大学中退した、しがない携帯販売店の店長だ。


 そして俺の目の前にいるのはタツ…旧姓・藤原 名は龍虎たつこ、名前の通りか分からないがとにかく頑丈でだけど気が弱い対魔忍ア○ギそっくりな女だ。


 そして数々の悪い意味で伝説を持つ幼馴染であり、俺からすればあまり変わってない愛する妻でもある。

 


 タツは子供が生まれてから、現場作業員になるまでの間、ず~っとダラダラしていた…いや子育ては大変だ。言うまい。

 例えば、授乳…これは大変だと聞く…寝てても起こされ優しく飲ませてあげないと泣く…優しく…してるようには見えないが…とにかく子供2人がぶら下がっている。

 乳児2人をぶら下げるタツもさる事ながら、子供達も凄まじい吸引力だ…

 

 まぁ良い…子育ては大変だからな…俺は高校時代のNTRの一件以降、何事も受け入れる事を学んだ。

 高校時代のNTRとは簡単に言うと幼馴染4人。

 男女2人づついて、タツともう一人、アイカと言う何かと出来る女と俺は付き合っていた。

 しかしもう一人の幼馴染、ネトに寝取られた…のか?何か理由らしきものをこねくり回して誰が悪いのか良く分からなくなったので諦めたのだ、考えるのを。

 とにかくその流れでタツと付き合い、結婚し、子供2人に恵まれて今は幸せだ。


「博之さん、このドラマ今話題なんですよ?一回見たけど凄い面白くて♪一緒に見ましょうよ!」


 タツはテンションがフラットな時は敬語だ。

 まぁテンションが上がるとすぐ幼馴染らしいタメ口に戻るが。


 先日、育児や将来に対してあまりに弱音を吐くタツにキレてしまい、日常はこの様な敬語で話す状態になってしまった。

 心の痛みを受け入れる事は本当に大事だ。


 そして、こういう日常も大切な家族の時間だが…


 ふぁ~♪ふぁ~ふぁ~♬


 ドラマが始まった。今話題のWEB配信のミニドラマらしい。

 タツは最近、ドロドロの恋愛ドラマが好きだ。

 最近はアメリカの何か胡散臭い出来る女みたいなのを見ていた。

 やれ浮気だ、托卵だと騒ぐのが大好物。

 主婦は皆好きだから!とか言っていた、本当に?

 俺、ドラマでも托卵エンドとか嫌なんだけど…


 そしてWEBドラマが始まった。

 物語は高校時代から始まるようだ。

 野球部の男が吹奏楽の女に恋をして、付き合いデートを重ね結婚する。しかし…という展開のようだ…横のバーにあらすじというかネタバレが…


 そういや俺の元彼女…別の幼馴染にNTRれた幼馴染アイカも吹奏楽部だったな…まさかヤリ○ンで薬中になるとは思わなかった。最後は無理矢理托卵だが何だか分からん事してたけど一ミリも理解出来ない事を…まぁ今は更生したけど…

 そんな思い出を遡りながらドラマを見る。

 

 主人公・誠一に自分を重ねる、そう考えるとトラウマをえぐられる様で、今すぐ見るのをやめて欲しいが女子?のタツは違うらしい。

 

「間違いなく詩織は浮気してるな…これは間違い無い。経験上、吹奏楽部は浮気する、口を使うからな、呼吸も荒いし」


 テンションが上がってきて言葉使いが変わりドヤ顔で推理めいた事を言ってきた。

 と、同時に酷いレッテル貼りだ。全国の吹奏楽部に謝れ。それにお前は何度か見たんじゃないのか?


 しかし、俺はそんなタツを受け入れ…いや…何これ…


 さっきから誠一がずっとハンバーグチェーン…というか【肉吾郎】の説明しかしていない。

 俺は動画サイトのスキップボタンを探すが無い。


 何だろう?CMバグってんのかな?

 余りにも長いので俺は横からマウスを取り30秒スキップを…


「ヒロォ!?なにするだ!?この肉吾郎で表現した心理描写が秀逸なのに!」


 え?良い所?今の【肉吾郎】の説明を延々としていた部分が?


「オレの憧れる日本橋が本店の【肉吾郎】だよ?丸井さんが社長の!ヒロ知らないの?遅れてるなぁ」


 知ってるよ、チェーン店だしあちこちにあるからな。めっちゃ安いハンバーグの店な?何で今、俺を煽った?


 俺は知っている、タツは【肉吾郎】への憧れが強い。安くて旨いからだ。いや、安いからだ。

 コイツ、当時の事忘れてやがる…学生時代、隣町に【肉吾郎】が出来た。

 しかし我々の街…というか駅にはやってこなかった。

 

 肉吾郎の思い出か…中学時代、俺が思春期でフテってた時に入り浸っていたヤクザの事務所…まぉ叔父の組なんだが、そこの組員で歯の抜けた厨二病気味の爺さんが車で連れてってくれた事がある。


「こだわり和牛のハンバーグセット2つ…」


 歯抜けの爺さんは勝手に俺の注文を決めた。


「ドリンクバー頼んで良い?」「………」


 当時は『おいジジイ、110円ぐれぇで無言かよ』と思った。

 しかもジジイは千円ちょっとしか持ってなかった無かったから俺も少し払った。

 大人だったらステーキ奢れや…と思ったがまぁそんな思い出だ、まぁ値段の割に旨いしあったら良いな、【肉吾郎】。


 そしてタツは隣町に出来たのが相当悔しかったらしい。

 当時中学生、タツがグレてやるとか騒いでいた頃で、世間の評判が悪くなった事件がある。


 その身長が175前後ある中学生女子のタツ、眼つきは悪く、小学生時代に来ていた短パンとタンクトップを着ていたので痴女にしか見えない、そしてお嬢様学校に行ってるのに当時ボサボサの赤髪(絵の具で着色)であったタツが…牛丼チェーンの建設予定地の前に立ち騒いだ。

 しかも気が弱く小心者なので周りに人がいないか確認した後に…


『同じ駅に3つも4つも○屋は要らないんだよクソがぁっ!肉吾郎にしろやこんちくしょー!』


 などと叫びながら【○屋犬山店オープン】の看板の上から【肉五郎犬山店建設予定地】と貼っていたのを近所の住人に見られていた。

 


 ちなみに何屋かは察して欲しい。


「思い出してきた…当時新しく出来たあのクソ○屋…ギャル店員がな、私のお持ち帰り牛丼をオーダーちゃんと通さないで帰りやがったのよ、中途半端に水だけ出してな…私はカウンターで一時間半待ったよ。夜に突入してワンオペだったしな、店員呼び付ける勇気なんて無いから…私はただカウンターで一時間半水飲む奴って噂が広まってよ…ちくしょう…お客様ファーストの肉吾郎なら『お冷のおかわりはいかがですか?』って聞いてきた時に聞けるのによ…いやそもそも肉吾郎ならそんなミスはしねぇよ」


 その話は何回も聞いたし、それはお前も悪いだろ…と、当時も今も思ったが、言うと『肉吾郎とオレ』みたいな長文を話し始めるからスルーする。


 話が脱線した…とにかく誠一と詩織は肉吾郎デート?を繰り返し結婚に至ったようだ。

 

「あぁ…馬鹿だよ詩織…お前は馬鹿だ…お前が肉吾郎のように誠一ファーストなら…肉吾郎のように、一人一人に丁寧に、時に甘く時に苦く、そして肉汁のジューシーな体験を繰り返せばこんな事にならないのにな。場末の○屋のような牛丼男に騙されたんだな、○屋一杯あるからな。ハーレムみたいなもんだよ、騙されてる」


 まだそこまで行ってねーよ、途中意味分かんねーし。しかも画面とタツとで二重でネタバレされた。


 しかし、誠一が結婚して子供と幸せな毎日を見てるとグッと来た。良くわからない肉吾郎推しが無ければ泣けるストーリーだ、ちょっとウルッと来た。


 タツも同じ気持ちのようだ…目が潤んでいた。

 タツは両胸でぶら下がって死ぬ気で乳を飲んでる乳児2人を撫でながら言った。


「おまえらにはオレが叶わなかったお子様ハンバーグプレート食べさせてやるからな、オレの時には食べれなかった…あの…エビフライに、ゼリーまでついている、お子様ハンバーグプレートをな…」


 そんなタメを作って言う程大したもんじゃないが…ファミレスのお子様ランチだし、安い方だしな…


「それに牛のにっきゅん…お母さんも持ってるんだよ。幼馴染でヒロがいるのに浮気したアイカという名前のイカに売って貰ったんだ…」


 アイカってまた…元カノの名前を子供に言うなよ…それにしても…


「売ってもらったってなんだよ、これくれるやつだろ?またアイカがお前に何かやったのか?」


「あのクソイカ、お子様ハンバーグプレートは9800円だと、当時のゲームのフルプライスの金額と同じという嘘をついたんだ、そのプレミアム牛のにっきゅんを4800円で買ったんだよ。貯金箱破壊してな…お金は…駄目だよな…お金はよ…まぁアイカの親にチクったけどな。母ちゃん越しに返金があったけど『勉強代』という謎システムによって返ってこなかった…それが悔してさ…クソッ!あの時弁護士事務所ロイヤルに相談してればって、今でも夢に見るよ…」


 タツはブツブツなんか言ってるが無視した。

 小学生のやり取りに弁護士事務所は介入しないだろう、そもそも弁護士雇うにいくら掛かるか分かってるのか?ロイヤルだってテレビCMだとクレカの利息取立てか難病の取立てメインだろ?お前の頭の病気は取立てられないよ…イカン、中身が何もない話に乗ってしまった…


「ウオォ…ごどー♪でぃぐごろー♪ 美味じいぃお肉♪ だのじいぃい時間♪ ぼぐど…あなたのぉ…ディグゴドー、ロイヤルぅ♪」


 突然、泣きながらコマーシャルソングを歌うタツ。本当に情緒不安定だな…

 まぁまぁ情緒不安定にもなるわな…だって誠一がどう考えても不幸になる未来しか見えない。


「やっぱり持ち帰りもでぃぐごどーだよなぁ…○屋なんか…」「その話は何回も聴いてるし良いや」


 その後、誠一が裏切られ娘の親権も取られたようだ…あんなに仲良かったのになぁ。


「しかし娘を何とか引き取れなかったもんかね?間男の子供とはいえ情はあるだろ?」


「ヒロは何も分かってないな、本質を」


 はい、何も分かってないが入りました。


「誠一はさ、辛いんだよ…【ルノエルノ株式会社】の夜専用缶コーヒー・シルクを飲んで、シルクに包まれるように抱擁されないと寝れないぐらい辛いんだぞ?分かるか?」


 別にコーヒーの味がシルクって表現なだけで抱擁とは…


「ウチにあった老舗の東川布団のやたら重い、重力のやたらある部屋の異様に重い寝るだけで筋トレになる布団みたいなやつじゃない、優しく軽いシルクだ。コーヒーでシルクを表現する、流石ルノエルノ。俺も空き缶集めて良く飲んでる。オレはカフェイン駄目だからな、ギンギンになる。更に眠りを妨げない上にコーヒーというのが大人っぽいのが良い」


 タツの実家の布団は確かに激重だった。数十年使っているだけあって羽毛が吸水し、マジで圧迫感が凄かった、洗濯に出せや。


「思い出すな、オレはCM大好きだからな…『夜にはシルクに包まれて、永遠の眠りを』ってやつな?だからオレは夜専用缶コーヒー・シルクでイクと決めた」


 そうだな、良い眠りじゃなくてタツは永遠の眠りな。どうやら俺の妻はシルクであの世に逝くと決めているらしい。


 まぁそんなこんなで一通りドラマを見で思った。

 タツは影響の受け方が酷い。前からCMとか好きだったんだよ。

 多分…2つの事を同時に処理出来ないんだろうな…良いと思ったら同時に入ってくるもの全部良く見えるみたいな…このスポンサーの圧が強い(特に肉吾郎の)ドラマはタツに取って最高のドラマ何だろう。

 つまり…とても騙されやすいっていう事だ…


「いや~良いドラマだった。続きが気になるなぁ!?なぁっ!?ヒロ!とりあえず肉吾郎行こうゼ!あのドラマについて語りながら、肉吾郎で食いながら動画流そうぜ!」


 何かテンションが変になっている馬鹿…じゃないタツは何だか楽しそうだから良いか…。

 久しぶりにタツと外食でもと思い、子供をウチの親に預けて車で肉吾郎へ行った。

 敬語じゃない時のタツは大抵何か起こるが…


「しかしヒロ、駅前ドイツ語スクール【アイゼン】、生徒募集中がいきなり入った時は脳が揺れたな、終わりに向かっているのが良くわかったよ…」


「アイゼン…あんまり金積まなかっただけだと思うけど…雑だったしな」


 馬鹿みたいな話をしながら少し離れた肉吾郎に来た。

 今日俺達が来たのはホームセンターのフードコートと合体したスタイルの肉吾郎だ。テンションの上がっているタツはうるさいから、店内でも食べれるけどフードコートぐらいがちょうど良い。

 車を停めた所でカップルのような人影が2つ…やべぇ所に停めちまった…


「タツ、出来ないと思うけど万が一にも煽るなよ…俺達は良い大人何だから。ルノエルノ株式会社の似合う良い大人だからな…は?」


 タツはこういう時、知り合いだと狂った様に煽る…知り合いでなければ人見知りを発揮して音もなく去っていくタイプ。そのタツが車…叔父のベンツのボンネットの上に立っていた…別に車に愛着はないがひどく嫌な予感がした。

 やべぇ…知り合いかな…


「タツ、何やってんだ?いちいち言いたくないけど、いくらボロいとはいえボンネットには…」


「ヒイイイイイイイイイヤアアアアッッッ!!??♥♥♥ホワアアアアッッッ!!イエスッ!イエスッッッ!!」

 

 うん?気が狂ったかと普通は思うが、この様な奇声はタツがとても嬉しい時に発する音である。

 何か手を掲げた後自分の脇に引き寄せる動き…ヨッシャー!と言わんばかりの動きをしている。


 何がそんなに嬉しいんだろう?

 その時、膝が当たり車がロービームからハイビームに切り替わった。

 カップル2組に車のライトが当たる。


 左のライトにはタツのお父さん…浮気性で自ら死んだと噂を流し浮気したら殺すと言っていた奥さんから逃げ蒸発した世間的には真の卑怯者・龍倫さんがギャルに乳首舐めさせながら照らされて『ウォ!?』みたいな顔をしている…


そして右のライトにはタツのお母さん…タツが何度言っても蒸発した事を認めず死んだと言い張り、あの人に操を捧げていると再婚の匂いがしなかった雪虎さんが…若い男に後ろから抱かれベロチューしながら胸を…いやそれ以上の事をしていた雪虎さんが目を見開いていた…


 どうやら駐車場の端で薄暗く、ちょうど柱が出ていた為に、お互いが見えなかったらしく、ライトに照らされて初めて分かったようだ。

 偶然にしては出来すぎているが、現実は小説より奇なりですね…


 2人共、いや、4人か…『あっ!?』と一番見られてはいけないものを見られた顔をしている。


 タツを見ると本当に嬉しそうな…悪い顔でニチャアっと笑った。

 片手でコケシを持ちながら、小さい声でタツは言った。


「オレはダブルソフトクリームコーヒー&バニラの様に甘くはないぞ…(笑)」


 その発言を聞いて、俺は現実逃避して歌った。


「ごろー♪ にくごろー♪ 美味しいお肉♪ 楽しい時間♪ 俺とタツコのにくごろー♪」


 嫁の両親の修羅場に巻き込まれたからだ。

 そしてタツは、別に両親は何をしてようが対して普段は対して気にしないクセに、あのドラマを見た後に最高の獲物を見つけたようだ。


 こんな時は誰に相談する?ロイヤル探偵事務所しかないな!ゴー!ロイヤル!(白目)


※続く

 


※全4回の予定です。またNTR耐久の話の続きなので向こうにそのまま転載の予定です。

 そして西基央先生、本当にありがとうございます。

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