持続のコツは「距離」である
前回は具体的な最後まで書く方法について話したので、次は「心折れないメンタル」について少し書きます。小説の書き方というよりコメントへの反応論です。
まずはこの作者のざっくりした経験談からしていきます。もう随分と昔になりますが、たまたま目に付いた「初めて書きました!」という投稿に「これからも頑張ってください」とコメントしました。すると「よろしくお願いします!」とその子(ここでは便宜上こういう表現をします)からフォローされました。それからどうなったと思いますか?
自分の投稿に毎回その子が「いいですね!」「その通り!」「あなたは素晴らしい!」とコメントしてくれます。最初は悪い気もしませんが、次第に気味悪くなってきます。そうこうしているうちに、自分の投稿とその子の考えが一致しない投稿があったようです。その子はそれまでから一転「裏切られた」「そんな奴だとは思わなかった」「こんな奴〇〇で△△だ(見るに堪えない長文の罵詈雑言)」となりました。最終的に周囲もドン引きしているのを感じてお別れをしたのですが、元はと言えば自分が気軽に「頑張ってね」などと言ったのが原因だなぁと思うとそういうこともあると何だか悲しくなりました。
ネットの向こうの人ってよくわからないんですよね。その子と表現したのは、書いてなかっただけでもしかしたら人間不信になって引きこもってる中学生とかだったかもしれないと後で思ったからです。
そんなときにネットで優しい言葉をかけられたら嬉しくて舞い上がってその人のこと大好きになっちゃうし、その人の言うこと全部正しく神様みたいに見えてきちゃうし、その人が思いもしないことを言ったら自分の中の神様が消滅してしまう。
だから力いっぱいその人を否定する。その人を盲信した愚かな自分を否定することが第一なので、自分が何を言っているかよくわからない。相手が迷惑ということもよくわからない。そういう状況でもあったのかな、とも思うわけです。
世の中の人全部がそういう状況にあるわけではもちろんないのですが、SNSで知らない人に声をかけるということはこういうリスクもあるわけです。振り返ってるからこそ淡々としてますが、当時はまあまあ怖かったです。
この出来事からの教訓がふたつあって、ひとつはコメントの受け手として「褒められても貶されても話半分にしておく」というもの。もうひとつは送り手として「絶賛するときはその人と一蓮托生になる覚悟をする」ということです。
受け手としての心構えとして、例えばすごく褒められたとします。「すごいよかったです!感動しました!」とか。すごーくいい気分になりますが、本心で向こうが書いている確証はありません。多少オーバーに読んだ作品みんなにそういうコメントをつけている可能性もあります。
これとは逆に、悪く言ってくるコメントも本心で書いている確証はありません。何やら参考になりそうな意見は貴重なご意見として受け取って、彼らの感情まで受け取る必要もないです。ただ「そういう表現しかできない人なのだ」と思いましょう。明らかに貶されたのに怒らないなんて出来るのか、と思う方もいるでしょう。世の中には貶しているのに褒めていると思ってる人が結構います。女の子に「なんだあんた、また一段とエロい体になったね」などというのを成長を褒めてると思ってる田舎のおじさんとか……。
コメントを送るときも細心の注意が必要です。「この作品のこういうところがよかった」とあくまでも作品を褒めていることを明確にしましょう。作者自身を褒める必要はありません。褒めるならとことんお友達になる勢いで褒めないと、上記のような出来事が起こるかもしれません。
大事なのはいろんなものの「距離感」です。善意も悪意もネットではダイレクトにやってきます。酷いものはAIとかで適当に編集とか排除とかできるようにならないですかねえ。でも世の中一番怖いのは「善意に見せかけた悪意」ですよ。
最後に少し宣伝ですが、少し前にそんな感じで距離感も何もかも無くした主人公がネット小説に誹謗中傷を書き連ねるという短編小説を書きました。
「小説家ワナビどもがムカつくので欠点を指摘してやった」
https://kakuyomu.jp/works/16817330659473601920
とりあえず運営の代わりにこの馬鹿野郎には作品内で制裁を加えていますので安心してください。ただこんなに分かりやすい誹謗中傷野郎もいないと思うので、もう少し複雑でクリアな誹謗中傷野郎も書いてみたいとは思っています。
しかしこんなの書いていったい何を目指しているんでしょうね。わっかんねえな世の中。でもそんくらいでちょうどいいんだと思う。世の中わかんねえ奴もいるというか、わかんねえやつの方が多い。自分に出来ることは自分の作品を愛してあげることだけ。うちの子は超かわいいんだぞ!上の短編だって作者は好きだぞ!あんなん、だけど……。まとまんねえ!終わりだ終わり!!
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